E1885 – 第6回日中韓電子図書館イニシアチブ(CJKDLI)会議<報告>

カレントアウェアネス-E

No.319 2017.02.09

 

 E1885

第6回日中韓電子図書館イニシアチブ(CJKDLI)会議<報告>

 

 2016年12月1日と2日,第6回日中韓電子図書館イニシアチブ(China-Japan-Korea Digital Library Initiative:CJKDLI)会議が韓国国立中央図書館(NLK)で開催された。国立国会図書館(NDL)と中国国家図書館(NLC)からは各4名,開催国であるNLKからは9名が出席した。なお,この会議は,2010年に締結した協定に基づいて,毎年度,日本,中国,韓国の国立図書館が持ち回りで開催しているものである(E1526E1647E1762参照)。

 初日は,第5回会議(E1762参照)後1年間における,各館の電子図書館事業に関する取組について報告を行った。NLKからは,2016年2月に韓国の図書館法が改正され,同年8月にISBNまたはISSNが付与されたオンライン資料が納本対象に追加されたこと(E1836参照),所蔵資料の大規模デジタル化として前年度比4.5倍以上の13万件を目標にデジタル化を進めていることなどが報告された。NLCからは,大規模オンライン公開講座(MOOC)形式の社会教育サービス「国图公开课(国家図書館公開講義)」の公開や仮想現実(VR)技術を活用した中国古代詩の読書体験アトラクションの開発や提供などが報告された。NDLからは,所蔵資料のデジタル化の進捗状況とともに,許諾が得られた震災・防災関係の一部のデジタル化資料については本文テキストを作成し,NDL東日本大震災アーカイブ「ひなぎく」に投入したこと,国立国会図書館サーチを「国の統合ポータルサイト=ジャパンサーチ(仮称)」へと発展させるための検討を開始したことなどの報告を行った。

 各館からの報告後,前回会議の合意事項に基づき構築していたCJKDLIポータルサイト“CJK Digital Library”(β版)の開発状況がNLKから報告され,公開に向けた諸課題について3か国で協議を行った。協議は二日目も継続して行われた。この“CJK Digital Library”(β版)は,昨年度に開発・検討を行ったCJKDLIポータルサイトのパイロット版を発展させ,メタデータ集約型の検索システムとして,NLKを中心に構築を進めてきたものである。日中韓の3か国語及び英語に対応し,3か国のデジタル化資料を統合的に検索可能とすることを目指している。システムは,Linked Dataの技術(CA1746参照)を基盤に開発され,メタデータはLinked Dataとしても提供される予定である。

 協議の結果,“CJK Digital Library”(β版)を2017年9月に正式公開する計画が合意された。また,正式公開に向けて,引き続きNLKがシステム開発の作業を担うとともに日中の2館も説明文の作成や広報などの作業を分担すること,ポータルサイトは各国が提供したデジタル化した古典籍資料のメタデータ合計数千件程度でサービスを開始するが,それ以降も持続的なメタデータ拡充のために3か国で協力すること,2017年5月のアジア・オセアニア地域国立図書館長会議(CDNLAO)で広報を,同年8月の世界図書館情報会議(WLIC)・国際図書館連盟(IFLA)年次大会でポスター発表を行うこと,なども決定した。今後は,9月公開に向けた諸作業を,3か国で協力しながら進めていく予定である。

 第7回CJKDLI会議は,2017年にNLCで開催する予定である。

電子情報部電子情報サービス課・小澤弘太
電子情報部電子情報流通課・橋詰秋子
電子情報部電子情報企画課・町屋大地
関西館電子図書館課・木下雅弘

Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/dlib/cooperation/index.html#anchor2-3
http://open.nlc.cn/
E1526
E1647

E1762

E1836

CA1746