女性は家族について書き、男性は戦争について書く(記事紹介)

米ニューヨークタイムズ紙に2000~2015年に掲載された書評について、対象となる図書の作家の男女別に頻出語を比較した結果が米New Republic誌のオンライン版に掲載されています。著者はカナダ・マギル大学のAndrew Piper准教授と、米シカゴ大学のRichard Jean So助教です。

Piper准教授らは2000~2015年のニューヨークタイムズ紙の日曜書評10,287本について、評されている図書の作家が男性であるか、女性であるかと、書評中に頻出する語との間に関係があるかを分析しました。その結果、女性著者の図書を評する際には「夫」(husband)、「姉妹」(sister)、「結婚」(marriage)などの家族関係に関する語をはじめ、身近な話題に関わる語が男性著者の図書を評する際よりも数倍使われていました。逆に男性著者の図書を評する際には、「軍事」(military)、「大統領」(president)など、戦争を含む政治に関する語が女性著者への書評の数倍、頻出する傾向があったとのことです。

Piper准教授らはこのような、男性著者は政治など「シリアスな」問題を扱い、女性著者は家族や心の問題を扱うというようなステレオタイプが、近年でも存在してあるであろうこと自体は予想された結果であるとしています。その上で、そのステレオタイプが分析対象期間中、特に変わることなく維持されていることが問題であると指摘しています。

Women Write About Family, Men Write About War(New Republis、2016/4/9付け)
https://newrepublic.com/article/132531/women-write-family-men-write-war