Ithaka S+R、大学出版局において単行書出版にかかるコストを分析したレポートを公開

2016年2月5日、Ithaka S+Rが大学出版局における単行書出版のコストに関するレポート、“The Costs of Publishing Monographs Toward a Transparent Methodology”を公開しました。

・高品質な電子版の単行書を出版するために必要な作業の包括的なリストを提示する
・単行書の出版にあたって大学出版局にかかるコストについて実例データを収集する
・大学出版局に、オープンアクセス(OA)の電子版の単行書において著者が支払う費用の価格帯を定める際のガイドとなる一般則を提言する

などの点が目的とされ、米国内の20の大学で、2014会計年度に出版された単行書382タイトルについて、労働時間、直接経費(コピーエディターにかかる経費など)、間接経費(法的支援に関するもの、賃料など)の推定値をもとに、分析が行われています。

・大学出版局にとって一番のコストはスタッフの労働時間である
・(図書部門の収入の多寡で調査対象を4グループにわけたところ)小規模な大学出版局のグループで、もっとも低いコストで単行書が出版できている

などといった結果のほか、OAの影響についてさらなる調査等が必要であることが指摘されています。

The Costs of Publishing Monographs Toward a Transparent Methodology(Ithaka S+R, 2016/2/5)
http://www.sr.ithaka.org/publications/the-costs-of-publishing-monographs/
http://www.sr.ithaka.org/wp-content/uploads/2016/02/SR_Report_Costs_Publishing_Monographs020516.pdf
※2つ目のリンクは、PDF版です。

参考:
OAPEN-UK、オープンアクセス単行書の出版への効果的な移行を容易にするための推奨事項をまとめた最終報告書を発表
Posted 2016年1月29日
http://current.ndl.go.jp/node/30578

大学出版局にとって図書館における売り上げはどの程度重要なのか?(記事紹介)
Posted 2014年6月24日
http://current.ndl.go.jp/node/26424

E1281 – 北米大学図書館における学術出版サービスの現状と課題,提言
カレントアウェアネス-E No.214 2012.04.12
http://current.ndl.go.jp/e1281