ブラジルにおける、農業等に関する情報の普及と啓発を図る“Mini Libraries”プロジェクトの取組み(記事紹介)

2015年8月に開催される予定の第81回世界図書館情報会議(WLIC)・国際図書館連盟(IFLA)年次大会の資料として、IFLAのウェブサイトに、 Fábio Lima Cordeiro氏らによる“Dissemination and democratization of information access in rural communities: the role of librarians in the Mini Libraries project”と題した記事が公開されています。

記事では、ブラジルの農牧供給省の後援を受け、ブラジルにおける食料生産量の増加等を目的に、同国独自の熱帯農業及び畜産モデルの開発に取り組んでいるEmbrapa(Empresa Brasileira de Pesquisa Agropecuária)社における“Mini Libraries”プロジェクトが扱われています。

“Mini Libraries”とは、地域における農業や畜産の発展に有用な情報を含んだ本やブックレット、ビデオや音声といったコンテンツをまとめたキットを配付する取組みで、Embrapa社が農村における情報へのアクセスを向上させるために、社会発展飢餓対策省などとともに2003年ごろから、開始したようです。

当初は、8つの州で小中学校205校を対象に配付され、その後現在ではブラジル国内全域に広がり、1,248の自治体(municipality)において、2,500を超える“Mini Libraries”が存在していて、小中学生のみならず、家族経営の農場や漁師、キロンボなどにも広まっているようです。また、アフリカのモザンビークにも広がっていることが言及されています。

なお、本記事では、“Mini Libraries”プロジェクトの今後の課題として、プロジェクト関係者間のコミュニケーションが可能なポータルサイトの構築やキットの資料に関する貸出しや管理の枠組み作りが挙げられています。

Dissemination and democratization of information access in rural communities: the role of librarians in the Mini Libraries project(IFLA Library, 2015/7/1)
http://library.ifla.org/1192/
http://library.ifla.org/1192/1/150-cordeiro-en.pdf
※2つ目のリンクは、記事のPDFファイルです。

Embrapa
https://www.embrapa.br/en/home

参考:
2015年の世界図書館情報会議(WLIC)・国際図書館連盟(IFLA)年次大会は南アフリカのケープタウンで開催
Posted 2013年8月23日
http://current.ndl.go.jp/node/24224

アフリカにおける医療政策策定への医学図書館員の貢献(記事紹介)
Posted 2015年7月7日
http://current.ndl.go.jp/node/28845