Wikipediaは論文のどの箇所で、なぜ引用されるのか?(文献紹介)

2014年6月28日公開のJournal of Scientometric Research誌第2巻3号に、Fariba Tohidinasab氏とHamid R Jamali氏による論文” Why and where Wikipedia is cited in journal articles?”が掲載されています。

この論文は2007年から2012年の間にScopusに収録されていた英語論文でWikipediaを引用していたものの中からランダムに選んだ602本を対象に、Wikipediaを引用する動機とどこで引用しているのかについて内容分析と引用分析を行ったものです。分析の結果、Wikipediaを論文の中で引用する動機は20に分けられ、特に多いのは一般的な情報や定義を示すために引用する場合と、事実や数字を示すために引用する場合でした。また、Wikipediaを引用する箇所としては「はじめに」が多かったとのことです。論文中でのWikipediaの引用は増加しているものの、分野による違いもあるとされています。

Tohidinasab F, Jamali HR. Why and where Wikipedia is cited in journal articles?. Journal of Scientometric Research. 2013, 2(3), p.231-238
http://www.jscires.org/text.asp?2013/2/3/231/135415

参考:
誰でも書き換えられる文献への参照:健康科学分野の査読論文におけるWikipediaの引用状況調査(文献紹介)
Posted 2014年3月26日
http://current.ndl.go.jp/node/25762

Wikipediaにおける処方箋薬の情報はしばしば時代遅れで不正確?(文献紹介)
Posted 2014年7月1日
http://current.ndl.go.jp/node/26477