ボイコットを越えて Elsevier社へのボイコットから2年、主導者へのインタビュー(記事紹介)

米SPARCのウェブサイトで、2012年にElsevier社へのボイコットを主導したフィールズ賞受賞数学者、ガワーズ(Timothy Gowers)氏への電話インタビューに基づく記事が公開されています。

ガワーズ氏はElsevier社の雑誌が高額であることや図書館への電子ジャーナルのバンドル販売、オープンアクセスの制限につながる米国の法案Research Works Act(RWA)にElsevier社が賛同していること等に反対して、同社での論文出版や同社からの査読依頼に対するボイコットを起こしました。このボイコットは10,000人以上の賛同者を集め、Elsevier社のRWA支持撤回につながる等の成果を収めたものの、インタビューの中でガワーズ氏はそのほかの点は改善しておらず、ボイコットの成果は十分ではなかったと答えています。また、OA義務化に期待しているものの、Gold OA、特にいわゆるハイブリッドOAに重きが置かれがちで、ますます出版者の収益増につながることに対し懸念が示されています。

ガワーズ氏は2014年4月にボイコットから2年を経ての状況をまとめた記事も自身のブログに掲載しており、インタビューの中ではその記事への反応等も尋ねられています。

Beyond the Boycott: Q&A with Timothy Gowers(SPARC)
http://www.sparc.arl.org/resource/beyond-boycott-qa-timothy-gowers

Elsevier journals — some facts(Gower’s Weblog、2014/4/24付け)
http://gowers.wordpress.com/2014/04/24/elsevier-journals-some-facts/

参考:
フィールズ賞数学者が開始したElsevier社の雑誌価格等に抗議するボイコット活動
Posted 2012年2月1日
http://current.ndl.go.jp/node/20070

Elsevier社にボイコット活動を行った数学者、arXivを利用したオープンアクセスジャーナルの計画を公表
Posted 2013年1月23日
http://current.ndl.go.jp/node/22758

E1495 – ゴールドOAに偏重した英国のOA方針に対する批判と提言 カレントアウェアネス-E No.247 2013.10.24
http://current.ndl.go.jp/e1495