Ithaka S+R、美術史研究者の研究を支援するためのレポートを刊行

2014年4月30日、ITHAKA S+Rが、美術史研究者の研究を支援するためのレポート“Supporting the Changing Research Practices of Art Historians”を公開しました。

特定分野の研究者の行動を調査するシリーズの一つで、教員や学芸員、図書館員や視覚的なコンテンツの専門家や美術館の専門家など70人以上にインタビュー調査を行ったとのことです。

サマリーによると、レポートのポイントとして、以下の事項が挙げられています。
・デジタルを活用した調査方法は分野によって異なっており、美術史分野は、デジタル人文学の他の分野で影響力のあるツールなどもまだ利用が少ないなど、発展途上である。
・美術史分野は、学術コミュニティと美術館や図書館などの機関、コレクションとの相互の結びつきが強い。機関レベルで関連機関が協力することで、美術史研究者に幅広いサービスを提供できる可能性がある。
・デジタル化や検索ポータルが一次資料の検索過程に変化をもたらしたが、現在の検索環境にはまだ課題がある。
・デジタル画像のファイルは研究において重要であり、研究者は多くの画像ファイルを維持しているが、これらの扱いは体系的には行われておらず、図書館などの専門家の支援が重要な役割と果たすと考えられる。
・美術史分野の大学院生の専門教育は、困難な労働市場に参入するための準備として、研究スキルの育成に留意する必要がある。

Supporting the Changing Research Practices of Art Historians(Ithaka S+R, 2014/4/30付)
http://www.sr.ithaka.org/research-publications/supporting-changing-research-practices-art-historians

Supporting the Changing Research Practices of Art Historians(PDF, 54ページ)
http://www.sr.ithaka.org/sites/default/files/reports/SR_Support-Changing-Research-ArtHist_20140429.pdf
※本文

参考:
E1380 – デジタル時代の歴史研究者の研究活動を支援するために
カレントアウェアネス-E No.229 2012.12.28
http://current.ndl.go.jp/e1380

ITHAKA S+R、化学者の研究実践とその支援ニーズに関する調査レポートを公表
Posted 2013年2月28日
http://current.ndl.go.jp/node/22984

特定分野の研究者を対象としたITHAKA S+Rの調査プログラム、歴史学と化学の次は美術史学に
Posted 2013年2月14日
http://current.ndl.go.jp/node/22891

E1409 – 特集“図書館におけるデジタル人文学”<文献紹介>
カレントアウェアネス-E No.233 2013.03.07
http://current.ndl.go.jp/e1409

Europeanaを人文学分野の研究でどう使う?
Posted 2014年2月14日
http://current.ndl.go.jp/node/25493

研究者はどのようにデジタルコレクションを利用するのか
Posted 2013年11月19日
http://current.ndl.go.jp/node/24877