質疑応答

質疑応答

 

【井坂(司会)】 質疑応答を行いたいと思います。ここからは司会席にもう一人、資料保存課の小林直子が入りますのでよろしくお願いいたします。

【小林(司会)】 それではこれから質疑応答の時間に入りたいと思います。質問票は2枚いただいております。ひとつ目はバーラモフさんに対してです。

 「ハーグ条約の中で文化財保全のための特別部隊を軍隊の中に設けるという記述があるということですが、条約批准国で実際にそのような部隊を設置している国はあるのでしょうか。あるとすれば、その具体的な活動例を教えてください。」という質問です。

【バーラモフ】 非常に難しい質問です。どう答えたらよいでしょうか・・・すみません、この質問にはきちんとお答えできません。この特別部隊のことは、私は知らないのです。実際にハーグ条約は、膨大な文書からなっているとても難解な条約でして、私自身法律の専門家でもありませんので、知り尽くしているわけではないのです。ただ、イタリアが非常に活発な活動を行っていることは知っています。たとえばブルーシールドの国内委員会もできておりますし、いろいろな活動をしています。また、オランダもいろいろな活動をしています。というのもオランダは実際に陸軍にそういうユニットを設置しており、その軍のユニットが文書遺産の保護をしております。また、実際にイラクで国立図書館の救援にあたったということも聞いております。ただ、実際にいかなる機能を持っているかについては詳しいことは存知ません。

【小林】 ありがとうございました。それではもう一枚の質問票のほうにまいります。こちらは那須さんに対する質問です。

 「“アジア地域センターの活動について支援”とは、市民レベルで行うにはどのようなことが望ましいのか。具体的に教えてください。」という質問です。もう少し具体的に質問の意図をおっしゃっていただけるでしょうか。

 

【飯沼】 私自身個人的には大した力があるわけではありませんが、資料の6ページの最後のご挨拶文に書いてあったことで、私たちがこれから何をすればいいのか、何ができるのか。市民レベルでの具体的なことをご提示いただければありがたいと思いまして質問しました。

【那須】 市民レベルで直接私たちのアジア地域センターの活動をサポートしていただくのは、ちょっと難しいのではないかと思います。このご支援という意味合いは、私たちが与えられたさまざまな任務を与えられた条件の中でやっていく活動について、他の機関の方あるいは他の専門家の方々が私たちの活動に関連性をもって何かしていただけることがあれば、ぜひともそういったご支援をお願いしたいという意味合いで申し上げました。

 ちょっと冗談めいた言い方ですが、市民の方々一人ひとりが、「アジア地域センターはお金がなさそうだから、少し募金してアジア地域センターに寄付してやろうか」というふうにされましても、私たちはそれを受け取る立場にはありません。しかしながら市民レベルで活動をなさることが、将来的に私どもとどういう関連性を持って連携していけるのかということはまだよくわかりませんが、可能性としてまったくないということではないと思います。

【小林】 質問票で寄せられていたのは以上の二つですが、ここで会場のほうからご質問またはコメントなどをしていただける方はいらっしゃいますか。

【宮崎】 東京外国語大学のアチェ文化財復興支援室の宮崎でございます。われわれは文化財の復興支援というものを細々とやってきましたが、今回のセミナーに参加させていただいて、いろいろなところでいろいろな広がりを持ってやっていらっしゃることを知り、非常に心強く感じております。われわれの大学では研究者として何ができるかという立場から、現場にすっ飛んで行くのではなく、長期的、継続的にやれることは何かを考え、現地の人々にとっても、またわれわれにとっても重要な意味を持つ歴史文書の復興を支援する活動を今年の1月に始めました。

 今日のお話は、大部分の話題が図書館という枠内で、ここにご出席の方も図書館関係の方が多いと思います。われわれが扱っているのは図書館の外にあるような文字文化財、文書遺産を含んだものであり、このセミナーの焦点から外れるかもしれませんが、われわれの活動において浮かび上がってきた問題点等々について若干お話しさせていただきたいと思います。

 われわれは、先ほどの坂本さんのご報告にありました五人委員会の活動を引き継ぐかたちで、アチェ文化財復興支援室を立ち上げました。たしかに何を行うにしても資金というのは非常に大きな問題です。五人委員会はトヨタ財団の支援や募金を得て、またわれわれの支援室では文化財保護・芸術研究助成財団の支援や調査研究のための資金を用いて、インドネシアの専門家を災害直後にアチェに派遣したり、坂本さんをジャカルタに派遣したり、アチェに派遣したりということを行ってきました。来週になりますが、12月14日からバンダ・アチェで文書の修復保存のセミナーを行う予定でいます。

 「なぜ文字文化財か」ということは、図書館関係の方には自明と思われますが、災害において失われるのは人命やモノばかりではなく、文化財とともに文化自体が失われてしまうことがあります。書かれたものが図書館というかたちですでに登録され、保存され、中身が明らかな場合は手を打ちやすいわけですが、アジアにおいては必ずしもそうなっていない地域が結構あります。とくに在地の固有文書については、私蔵されるかたちで非常に重要な歴史文書がある場合があります。したがって災害が起こった場合には、そういうものも視野に入れていかなければいけない。

 われわれは災害以前にそういう在地の、その土地土地に埋もれている文書を掘り起こし、それも取ってくるのではなく、デジタル化し共有できる体制を作り上げる――という活動を始めていましたので、その延長線上でアチェの救援活動、支援活動に乗り出しました。先ほどのダディ館長の今後のプランにもありますが、アチェにおける写本の電子化のプランもわれわれの活動の中から出てきたものです。

 こういう活動を始めた中で浮かび上がった問題点は、まず第1にタイミング、すなわち。初動の問題があります。これは那須アジア地域センター長のご報告にもありましたが、いつ動き出すかということが非常に難しい。政府は救援、復興という段階に関する宣言を出しますが、それにしても動き出すタイミングは非常に難しいものがあります。

 それと密接に絡むのは第2番目の問題点、すなわち現地のニーズが何であり、こちらが何を提供できるか、ということの調整です。国立図書館という枠組みですとはっきりしてくるかもしれませんが、そうでない民間の文書になりますと、責任がはっきりしないことがあります。それから政治的な状況もあります。ご存知のようにアチェの場合にはアチェという地方(州)と中央政府は必ずしも良好な関係ではなかったという歴史的な状況があります。したがって、復興支援活動を行う上でも被災地と現地の政府、それから日本の政府、日本において復興支援を行う人たちのさまざまな関心や能力というものの調整が必要になってきます。

 われわれの活動の中で、復興支援の対象となる文書を行政文書とするか歴史文書とするか、ということが、ある時点ではっきりと分かれてきました。坂本さんのご報告にもありましたが、坂本さんは当初、歴史文書の修復ということでインドネシアに行かれましたが、インドネシア政府の側の優先度は行政文書に置かれており、行政文書に関する支援要請をまず日本政府に行ったことから、そちらの活動に専念されることになりました。

 インドネシア政府の要請ということから、これはある意味で当然のことでしたが、文化財に関しては宙に浮いた形になってしまいました。全体的な復興支援のスケジュールが明示され、文化財に関しても、もう少し早く動き出せる状況をつくり出すことが必要ではないかと思います。先ほど市民レベルでどういうことができるかというお話がありましたが、一般の方々の文化財への関心を高めていくことが必要ではないかと思います。われわれも10月2日にアチェの文字文化財復興に関するシンポジウムをやりましたが、一般の人たちの関心を高めるのはなかなか難しいことを痛感しました。

 それから第3番目の問題点としては、状況の把握ということがあります。被災状況の把握は当然必要ですが、それとは別の状況把握として、先ほど申し上げましたように、元々どこにどのような文書があり、その重要性はどうか、という状況の把握が必要です。図書館の場合には、こういうことはそれほど問題になりません。しかし、図書館関係の方々は心外に思うかもしれませんが、図書館に所蔵されているものがすべてではありません。その他に貴重な文書がずいぶんあります。日本の場合にはすでにそういうものにも調査の手がかなり行きわたっていますが、アジア各地の場合にはそうではない。広い意味での文化支援、それから社会の復興を考えると、被災する前に歴史文書・文書遺産に関する調査活動をすることが、どこに何があって、その保存状態はどういうものかということを把握していれば、防災対策を施すことも可能になります。これを図書館という枠組みでやることなのか、あるいはもう少し広い枠組みでやることなのかということはまた別の議論ですが、文書全体ということになると、もう少し広いプラットフォームで考えていかなければいけません。

 そういうことで諸問題から浮かび上がってくる課題は、第一に、現状の調査が必要であるということ。第二は、図書館が必ずしも制度化されていない、制度として十全ではない地域においても、歴史的な文書を修復保存して文化復興なり社会の支援に役立てていくことを考えますと、公的な図書館という制度自体からつくっていかないといけないことになります。そのためには計画的、継続的な支援が必要になってきます。図書館という制度の導入ということになると、図書館関係者の方々に非常にすぐれたものをつくっていただけるのではないかと期待しています。

 それから第三番目の課題は、現地との折衝、コミュニケーション、それから関係各機関の調整です。日本側においては、先ほど那須アジア地域センター長が触れられた文化財をめぐるネットワークが省庁を超えたかたちででき上がりつつありますので、これには大きな期待が寄せられます。現地の、たとえばインドネシアあるいはスリランカの中でのコーディネションは先方に任せるしかありませんが、それを仕切っていく、連絡をしていく専門家、言葉のできる専門家、現地に詳しい専門家という存在がクローズアップされるのではないかと思います。手前味噌になりますが、東京外国語大学がアチェに関してそれができたのは、やはりインドネシア語のできるスタッフが何人もいるということがあります。東京外大では、これとは別にアフガニスタンでも文書の復興支援をやっていますが、これもペルシャ語、ダリー語ができる人材が豊富だからできることです。できれば、現地語ができ、現地の事情に詳しい人材を、様々な活動において活用していただければという希望もわれわれは持っています。

 それからこれはセミナーの主題から外れてしまいますが、変な言い方ですが、災害のポジティブな面に注目することも重要です。今日のダディ館長が示された惨状の写真には非常にショックを受けられた方も多いかと思います。私自身も現地に行きまして非常なショックを受けました。しかし、今回の災害で、とりわけアチェにとってなにがしかでも得るものがあったとすれば。それはアチェが外に開かれたことです。先ほど申し上げましたように、政府と地方の関係が非常に険悪だったという状況があり、災害以前には外国の機関、個人があまり自由には入れませんでした。しかし、この災害を契機に海外の復興支援の団体が入ってくる、政府機関が入ってくるということで、アチェの地方が世界に開かれた存在になってくる。それと並行してアチェの反政府勢力と、それからインドネシア政府との間のピーストークも進みつつあります。被災文化財の復興に関しても、単にもともとあったものを元に戻すというばかりではなく、それについての調査・研究も進め、文化遺産としての意味をさらに高めていくことにより、文化の復興を超えた国際貢献、社会貢献にもなるのではないかと思っています。

【小林】 どうもありがとうございました。東京外国語大学の理事で、同学アチェ文化財復興支援室長の宮崎恒二さんからコメントをいただきました。もうひとつ発表があったような充実した内容でお話しいただけて本当にありがたかったと思います。

 今回の公開セミナーは図書館の資料と限ったものではなく、「文書遺産の」被災と復興支援ということでしたので、いま宮崎さんがお話ししてくださったようなことも今日のテーマにピッタリのお話であったと思います。ではここで、図書館でもなく、研究者でもない、公文書館の世界からちょっとお話をいただけたらと思います。国立公文書館から何人かいらっしゃっていただいていますが、その中でどなたか、この問題に関してどんなふうに取り組まれたか、お話しいただけますでしょうか。

【大賀】 国立公文書館の大賀と申します。今日は国会図書館のスマトラ地震・津波による文書遺産の被災と復興支援ということで、ぜひ聞きたいと思いまして参加させていただきました。

 きちんとした資料を今日は準備してきませんでしたので、もしかすると日付等に間違いがあるかとは思いますが。先ほどIFLAの関係で那須アジア地域センター長のほうからご紹介がありましたが、国際公文書館会議(ICA)という国際組織があります。津波が起こりましたときに、IFLAとICAの会長の連名でユネスコ等に宛てて、支援についてのレターが出されております。そのレターに関しては国立公文書館のホームページのほうにもかなり早い時期に―ちょっと日付をきちんと覚えていなくて恐縮ですが―紹介させていただいております。

 そのあと、日本アーカイブズ学会のほうで4月にインドネシアの公文書館長の方をお招きしてセミナーを行った折に、当館においでいただきました。その際、当館で春の展示会を行っており、せっかくの機会ということで、来館者の方にも呼びかけて募金をさせていただきました。先ほど一市民の立場で何ができるかというお話もありましたが、たとえば図書のお話で「英語の本よりも現地語の本がほしい。そのためにはそれなりの財源が必要だ。」というお話もありました。特に日本の場合、日本語の本といってもなかなか直接的な、物理的な支援としては難しいわけです。そういうお話を聞いて、多少なりとも財源という点でお役に立てたのでは、とも思いました。

 そのほか、先ほどお話のありました資料保存懇話会で博物館の方々とか東京芸術大学の先生と一緒に参加させていただき、垣根を越えて何ができるのかということを、いま模索している途中です。

 最後にもう1点紹介させていただきますと、先ほど東京外語大学のアチェ担当の先生から発言がありましたが、最後にアフガニスタンのお話がありました。アフガニスタンにつきましては、今年の2月に外語大で関係者をお呼びになってセミナーをされました。それを引き継ぐかたちで外語大の方から修復についての研修をやっていただけないかという申し出があり、どのような協力ができるかという検討をいま始めているところです。

 われわれは国会図書館とは桁が違い、40数人の組織です。こちらのほうから思い切ったことをなかなかできないこともありますが、最近いろいろな方とネットワークがつながりまして、お申し出を受けてこちらが多少とも準備できる部分、修復の研修なら修復の研修、あるいは見学なら見学、と対応しています。

 公文書館は博物館、図書館に比べてあまり知名度もありませんので、そういう組織があること、そこが何をやっているかを理解していただければ、今回のような機会においても多少なりの援助ができます。援助というのは大変高い立場から言うおこがましい表現だとは思いますが、多少なりともご協力ができるのではないかと思って少しずつ始めさせていただいているところです。まとまりのない話で恐縮でございます。

【小林】 ありがとうございました。国立公文書館の大賀妙子さんからコメントをいただきました。それではバーラモフさんのほうからお手が挙がっていたようですが、どうぞ。

【バーラモフ】 いまお二人の方から、市民はどのような援助ができるか、そしてまたどのようなサポートができるかというお話がありました。この点に関係するのが、IFLAの復興開発のパートナーシップのプログラムです。災害が起こると多くの方々が参加したい、募金をしたいと希望なさります。ただ、普通はユネスコあるいは赤十字などに募金なさり、そのお金は文書館、図書館にはなかなか回りにくいわけです。でも、IFLA、ICAには専門家がいて、被災国から挙がってくる復興プロジェクトの申請を評価し、「これはいいプロジェクトだからお金をつけよう。」と言うことができます。

 そして2番目に重要なのは、どうやって募金を受け取るか、です。たとえばIFLAに10ドル、20ドル送っていただいても、IFLAやICAの本部ではそうした小額のお金をきちんと管理するようなスタッフがおりません。そこで、私たちは国内のIFLA基金を基にしたIFLAの復興開発パートナーシップのプログラムを提唱しているわけです。

 とにかくわれわれは、効率的な援助をしたいということで頑張っているわけですが、なかなか難しいです。とにかくコミュニケーションが必要です。使節団を次々に送る必要はありません。被災者のところに調査団が次々にやって来て「何が起きましたか」と問う、でもそのあと被災側には何も起こらない―そんな場面をみるのはつらいことです。これは被災者の求めていることではない。まず何が必要かということをはっきり言ってもらい、それをサポートする方法を見つけるというふうに順序だてて行っていくしかないと思います。いかがでしょうか。

【アマラシリ】 少し付け加えたいと思います。もちろんIFLAとして何かを組織することは良いことだと思います。プログラムをつくって支援をするということですが、直接インドネシアやスリランカにお金を送ることは非常に歓迎したいと思います。私のプレゼンテーションの中でも言いましたが、この1年間に国立図書館レベルにおいて、自分たちの基金を用意しました。ですからどれだけの寄付であっても歓迎でありまして、たとえば10ドルであっても、500ドルであっても、だれが寄付してくださったのか、それをどういうふうにして使うのか、についてウェブサイトで紹介します。そして、説明責任の一環としてどのようなプロジェクトがあるか―たとえばこれこれの図書館の備品を用意するために5,000ドルかかる。5,000ドルを使ってどこそこの図書館に図書を購入するということを、逐一説明しています。したがってスリランカにもインドネシアにも、そういうかたちで送っていただけます。直接送らなくてもどこかほかの組織を通じて送ることも結構だと思います。たとえばそれが5ドルであっても歓迎したいと思います。

【ラフマナンタ】 アチェに対しての援助ですが、実際に津波の数週間後にEメールがIFLA、ユネスコ、それからアメリカの図書館協会から来ました。そしてアチェの図書館を救うために何ができますかと言っていただきました。そしてわれわれは図書を送ってくださいとお願いしました。当時は図書が重要だったわけです。図書館の書架から図書がなくなってしまったからです。建物はなんとかできますが、災害で失われた図書を補充するのは、われわれには難しいことでした。オーストラリア国立図書館がまず最初に援助を送ってくれました。フラートン館長、本当にありがとうございます。

 ほかにも国際機関等から「アチェの図書館を助けるために何を援助しましょうか。」と聞かれたので、私は「本を送ってください。」とお願いしました。しかし、約束はいただいておりますが、まだ何も受け取っておりません。

 シンガポールとマレーシアの国立図書館は、それぞれの国の図書館協会を通じて図書を送ってくださいました。私は2週間前にシンガポール国立図書館の新館開館記念式に出席したのですが、そこで、私どもの図書館にアチェのための図書を寄贈してくださる特別の式典をしてくださいました。彼らは本当に図書を寄贈してくださり、われわれはいただいた図書をジャカルタに持って帰りました。後日アチェに送る予定です。これこそが援助だと思います。ありがとうございます。

 会場のどなたでも、図書を送っていただける方がありましたら、ぜひそれを歓迎したいと思います。

【小林】 いろいろな種類の援助の仕方がいまお話に出てきましたが、「これでなくてはいけない」というかたちではなく、新しい提案、それからいまあるものを活用して、さまざまなレベルで支援が続けばということだと思います。

 ほかにございますか。

【小泉】 立教大学図書館の小泉徹と申します。那須さんのお話の中で、日中韓で資料保存会議が始まったということで大変結構なことだと思います。距離的に近い3カ国で、資料保存のどういったことが共通なのか、ないしは違いがあるのか、資料保存の課題がそれぞれ違っているのか、共通したものがあるのか。まだ始まったばかりだと思いますが、そのへんの情報が何かありましたら教えていただければと思います。

【那須】 私のほうから中国国家図書館と韓国国立中央図書館に対しまして、「日中韓の協力をどういうふうに思うか」「その内容についてはどんなことをお考えか」という質問をすでにお出ししました。いただいた回答によりますと、協力の重要性については三者ともよく認識しているが、どういう共通の問題があるのかということに関しては、これから話していこうという段階にあるかと思います。

 中国からは、紙の資料についてはそれぞれ3カ国が伝統的な紙を培ってきたわけですので、そのへんのことについて共通の課題があるのではないかとのご意見がありました。それぞれの国に固有の保存のあり方があり、環境等類似しているところもありますので、学ぶこと、協力していけることがあるのではないかと考えています。明日開かれるPACアジアセンター長等会議で、三者でその協力について話し合う予定です。

【井坂】 ありがとうございました。それでは時間になりましたので、これで質疑応答を終わらせていただきます。