第3章 文書館・行政情報センター・博物館 (3.4 機関の設置根拠、3.5 所管する部門と所管部課、3.6 施設、3.7 職員配置)

3.4 機関の設置根拠

 自治体におけるそれぞれの機関の法的設置根拠の名称を聞いた。

図3-4
図3−4 設置根拠


3.4.1 文書館

 回答のあった文書館37館のうち33館が条例によって設置されている。昭和62年12月公布の公文書館法は、「地方公共団体の設置する公文書館の当該設置に関する事項は、当該地方公共団体の条例で定めなければならない」(第5条)と定めており、公布以後に設立された文書館は、条例を設置根拠にするのが一般的である。公布前に設置された文書館も、条例を設置根拠にしている。

 挙げられた条例名はほとんどが当該文書館の設置条例であるが、すでに調査から除いている奈良県、京都府、福岡市以外に図書館設置条例を挙げた例として、下関市文書館がある。

 その他を選んだ4館のうち3館は要綱を根拠にあげ、1館は公文書館法によらない文書館であると回答している。


3.4.2 行政情報センター

 回答のあった45機関中、条例による設置は3機関で、ほかの42はその他の設置根拠と回答している。条例は情報公開条例が2で、行政組織条例が1であった。その他の設置根拠は、その機関の設置要綱(要領・規則・規程)あるいは管理運営要綱(要領・規則・規程)としているところが多い。その他、行政組織規則を挙げているところがある。また行政情報・資料の管理要綱や規程を挙げているところが若干存在する。

 なお、情報公開条例は、通常、公文書の開示義務を定めており、こうしたセンターはその窓口となることが多い。と同時に、情報公開条例には総合的な情報提供施策が定められているのが一般的で、そのなかには重要な政策文書の積極的な公表や情報技術を利用した情報提供が定められている。以下、分析の対象になるのは、このような総合的な情報提供施策として、資料や情報を収集し、提供する機能である。


3.4.3 博物館

 回答のあった53館のうち49館が条例を根拠にしていると答え、3館はそれ以外(規則、指針)を根拠にすると答えている。無回答が1館あった。条例は基本的にその博物館の設置条例である。


3.5 所管する部門と所管部課

 それぞれの機関を所管する部門(首長部局か教育委員会か)と所管部課を尋ねている。


3.5.1 文書館

 回答のあった文書館37館のうち29館(78.4%)が知事(首長)部局の所管で、8館(21.6%)が教育委員会の所管であった。知事(首長)部局の場合は総務系の部局の所管になることが多く、教育委員会に所属する場合は、総務ないし生涯学習、文化行政系の部門の所管になることが多い。

 これは、文書館の設置までの経過にもよっている。自治体史編纂を契機として文書館を設置した都道府県市町村では、編纂主体が首長部局の場合は館もその所管になり、教育委員会の場合は引き続いて同じ所管になることが多い。教育委員会所管の場合は、図書館などと併設されている館もある。


3.5.2 行政情報センター

 全47機関が知事(首長)部局と回答している。所管部門は「総務」「総合政策」などの名称の部門に所属する機関が33、「市民」や「県民」「生活」などの名称の部門に所属する機関が10、「企画」「企画政策」などの名称の部門に所属する機関が4であった。


3.5.3 博物館

 博物館53館のうち教育委員会の所管が38館(71.7%)、知事(首長部局)の所管が12館(22.6%)、その他が3館であった。博物館は法的には教育機関として位置づけられているので、教育員会の所管が一般的であるが、首長部局所管の館も少なくない。首長部局の場合は、「文化」「県民」「生活」「環境」などの名称の部門が所管する例が多い。


3.6 施設

 機関が有する施設と面積、書架延長などを聞いている。次のグラフはどのような施設をもっているのかをまとめたものである。

図3-5
図3−5 施設の存在(複数回答可)


3.6.1 文書館

 資料収蔵庫・書庫のある館が37館中で36館、文書・記録閲覧室(スペース)のある館は34館、資料展示室(スペース)のある館が27館、講義室・集会室が22館、図書・印刷物閲覧室(スペース)が20館、貴重資料庫が19館であった。

 地域資料である文書を保存して閲覧に供する機関が文書館であるから、保存スペースと閲覧スペースは確保されている。展示スペースや講義室などが確保されている館は、全体の6割未満で、充分とはいえない状況である。資料展示室の面積は、16m2の館から322m2までさまざまである。閲覧室の面積も、広い館で414m2、狭いところで23m2である。

 収蔵庫・書庫の面積は、264m2の館から6,000m2までまちまちである。都道府県の文書館が広いスペースをもち、市町の文書館が狭いというわけでもない。

 多くの文書館が、地域資料の受け入れの増加にともなって、収蔵庫の確保を課題としている。すでに収蔵スペースを超えたため、学校の空いた校舎などの施設を利用している館もある。また、設置時の収蔵庫保存の文書量の予想をはるかに超えてしまっている館もある。確実に増加していく地域資料の保存場所について、各自治体は大きな課題を抱えているといえよう。


3.6.2 行政情報センター

 回答のあった47機関のうち、図書・印刷物閲覧室(スペース)があるのが36機関、文書・記録閲覧室(スペース)があるのが24機関、資料収蔵庫・書庫があるのが19機関、資料展示室(スペース)のあるのが18機関などとなっている。

 また全体に博物館や図書館のような独立した施設になっているところと比べると、図書や文書の閲覧スペースを中心として小規模な施設になっている。回答機関のデータを挙げておくと、図書・印刷物閲覧室面積は8m2から374m2、資料収蔵庫・書庫の面積は12m2から986m2となっている。


3.6.3 博物館

 回答のあった53館のうち、資料収蔵庫・書庫があるのが53館、資料展示室(スペース)のあるのが52館、講義室・集会室46館、図書・印刷物閲覧室(スペース)41館、貴重資料庫25館、文書・記録閲覧室(スペース)が13館であった。

 地域資料を収蔵し、それらのいくつかを展示するスペースはどの博物館も有している。その反面、文書等を閲覧するスペースを特別に設けている博物館は13館(24.5%)にとどまっている。

 資料展示室の面積をみると、最も広い館で9,940m2、せまい館で128m2である。資料収蔵庫の面積は、66m2から5,548m2となっている。


3.7 職員配置

 職員配置と人数について、学芸員資格保有者、司書資格保有者、専門職員の内数を聞いた。ここでいう専門職員とは、研究職や専門職として配置されている職員と定義して、聞いている。

図3-6
図3−6 職員の配置率(複数回答可)

図3-7
図3−7 専任職員の数


3.7.1 文書館

 文書館37館のうち、33館で専任職員を置き、嘱託職員を31館が置く。臨時職員を置くのは21館である。このうち専任の職員についてみると、館の専任職員総数は、1人の館から21人の館まで様々である。総数が10人をこえるのは5館、5人以上の館が13館、5人未満の館が15館であった。ほとんどの館が専任職員をおいているが人数は少なく、館の業務を担っているのは、嘱託職員、臨時職員であることがうかがえる。

 専任職員で学芸員資格保有者の職員がいる館は12館(うち県立の1館は10人が保有者)である。司書の資格を有する職員がいる館は10館(1人〜4人)であった。専門職員のいる館は10館であった。学芸員や司書とちがって、文書館としての専門職員(アーキビスト)の資格は法的に定められていないため、必要に応じて館によって決めているのが実情である。

 嘱託職員をみると、1館が39人、2館が10人、あとの28館は9人以下である。そのうち学芸員資格を有する嘱託職員を配置している館は10館(27.0%)にとどまる。司書資格保有者のいる館も10館である。嘱託職員を専門職員として配置しているのは14館(37.8%)である。

 臨時職員をおく21館のうち、学芸員を置く館が3館、司書を置く館が5館、専門職員の配置は1館だけである。


3.7.2 行政情報センター

 専任職員を配置していると回答したのは15機関、兼任職員が14機関、嘱託職員が30機関、臨時職員14機関、派遣職員2機関、その他の職員が7館であった。専任職員数は、5人未満のところが回答機関中13機関で圧倒的に多かった。博物館や文書館と比べると、専任職員がいるところが少なく、嘱託職員や臨時職員の配置が多いことがわかる。

 職員のなかで、専門職員としての位置づけがある職員についても聞いているが、専任職員の3名と臨時職員の3名、また司書資格をもつ職員は嘱託職員として1名、臨時職員として1名がいるだけだった。


3.7.3 博物館

 回答のあった53館のうち専任職員を配置しているのは52館、兼任が13館、嘱託が30館、臨時職員29館、派遣職員8館、ボランティア11館、その他の職員が12館であった。

 専任職員数をみると、30人以上の館が5館(最高は63人)、20人以上が12館、10人以上が14館、あとは10人未満である。文書館や行政情報センターと比べると専任職員数はかなり多いということができる。

 専任職員のなかで、学芸員資格保有者の職員を配置している館は46館(80.7%)であった。そのうち10人以上の館が14館(26.4%)であった、もっとも多い館で30人である。司書資格保有者を配置している博物館は、15館(28.3%)で少ない。専門職員を配置している館は31館(58.5%)である。

 嘱託職員についてみると、10人以上の館が11館であった。嘱託職員で学芸員資格をもつ職員のいる館は13館、司書資格のある職員がいる館が13館である。

 専門職員を配置している館は7館であった。

 臨時職員を配置する館は、総数10人以上が6館、学芸員資格を有する臨時職員の配置は9館、司書資格が6館、専門職が2館となっている。