2. 平成15年度 調査報告 2.1. パッケージ系電子出版物所蔵点数の調査

2.平成15年度 調査報告

 

 平成15年12月より約1ヶ月の期間をかけて国立国会図書館所蔵のパッケージ系電子出版物の実態を調査した。調査では、これらパッケージ系電子出版物の動作環境や媒体ごとの所蔵点数を調査し、サンプルを実際に最新環境において再生させることにより利用可能性を調査した。

 

2.1.パッケージ系電子出版物所蔵点数の調査

 後に行う再生テストのために、内容種別や媒体、再生に必要な環境、年度などの組み合せごとに資料点数を求め、表として整理した。

 調査対象のパッケージ系電子出版物は次の3つの資料群で構成される。

 

・ 電子資料:映像資料、録音資料以外の資料。PCやゲーム専用機などで再生されることを前提に作成された資料。

・ 映像資料:ビデオテープ、ビデオディスク、DVDなど映像を記録した資料。

・ 録音資料:CD、DVD-Audio、MD、レコードなど音声(主に音楽)を記録した資料。

 

 これら資料のうち、平成14年度までに受け入れたものを調査対象とし、資料点数は、既存の目録や業務統計を元に調べた。

 受入年度、再生環境、媒体種別などの関係を把握するために、調査結果は3つの表としてまとめた。電子資料についてはさまざまな再生環境について、媒体や傾向を知る必要があるため、再生環境と媒体種別ごとの所蔵資料点数の表、再生環境と年度ごとの受入点数の表を作成した。

(1)表2.1-1 受入年度と媒体種別

 この表では、電子資料、映像資料、録音資料を構成する各種媒体ごとの年度ごとの受入点数を表している。

 この表からは媒体の盛衰を読み取ることができる。

・ 磁気ディスクは平成8(1996)年度をピークに受入点数が減少

・ LDは平成8(1996)年度を境に受入点数が減少

・ DVDは平成9(1997)年度から受入を開始し、平成12(2000)年度から受入点数が急増

 

 DVDは映像資料の年間受入点数の8割ほどを占めるようになった。所蔵資料のほとんどがDVDで占められるようになる時期はそう遠いことではないと思われる。

 

(2)表2.1-2 再生環境と媒体種別

 この表では、電子資料の各種再生環境ごとの媒体点数を表している。

 再生環境として、大きくPC、ゲーム機、電子書籍、DAISY(3)、その他、記載なしに区分し、PCにおいてはPC/AT互換機(4)、FM-TOWNS(5)、Macintosh、PC-98(6)、特定のアプリケーション・ソフトウェア上での稼動を前提にしているもの、その他に区分した。

 統計的な便宜のため、複数の再生環境を前提として作成されている電子資料については、例えば、Windows、MacOSの双方のOS(基本ソフト)で稼動するハイブリッドの電子資料はWindows系OSに、再生環境として特定のアプリケーション・ソフトウェアを想定しているものは、特定アプリケーション(例えば、Acrobat)に区分した。(winとなっているものはWindowsのバージョンのいずれかであるが、目録上表記のないものである。)

 この表からは、各種環境で使われる媒体を知ることができる。

 

(3)表2.1-3 再生環境と受入年度

 この表では、電子資料の各種再生環境の区分に応じた年度ごとの資料受入点数を表している。

 この表からは、再生環境の盛衰を読み取ることができる。

 

(3) Digital Accessible Information System。視覚障害者など普通の印刷物を読むことが困難な人向けのデジタル録音図書の国際標準。ここでは、この標準に準拠した資料を指す。

(4) DOS/Vパソコン、IBM互換機、Windowsパソコンともいう。この調査では、この機種上で動作するOSをDOSとWindows系OSとしているので、この名称とした。もともとはIBM社が昭和59(1984)年に発売したPCである「PC/AT」のことであるが、仕様が公開され互換機が多数製造された。PC規格の業界標準として広く普及している。

(5) 富士通(株)製のPC。平成元(1989)年発売。

(6) 日本電気(株)が昭和57(1982)年から90年代前半にかけて販売していたPC、または、PC-9801シリーズとその後継のPC-9821シリーズの総称。