DOI、著者ID、SWORDプロトコル…… 数学・物理学系プレプリントサーバ“arXiv”の最近の動向(JCDL2011発表資料より)

2011年6月16~17日にカナダのオタワ(Ottawa)大学で電子図書館に関する国際会議“ACM/IEEE Joint Conference on Digital Libraries”(JCDL2011)が開催されました。その講演の一つ、“arXiv: Integrating disciplinary repositories with multiple partners and services”で、コーネル大学図書館が運営する数学・物理学系プレプリントサーバarXivの最近の動きが発表されています。公開された講演資料の主な内容は以下の通りです。

・年間投稿論文数の分野別第1位は、2006年まで高エネルギー科学(hep)だったが、2007年以降は数学(math)で2010年の投稿数は17,000件を超えた。
・arXivはOAI-PMH、SWORD (Simple Web-service Offering Repository Deposit)、arXiv API、Facebook API、Open Socialなどのプロトコルによって様々な外部サービスと接続している。
・約68万件の論文のうち、50%がDOIを付与されている。
・著者ID(Author Identifiers)の付与は着実に増加しており、2011年6月17日時点で6,252件。
・2010年初頭に実装したSWORDプロトコルによってこれまでに5,000件以上の論文が投稿された。SWORDはarXivから“Data Conservancy”へのデポジットにも使用している。
・コスト削減のため、Amazon S3へ移行する予定。
・2010年に発表された「機関サポートモデル」に対して、2010年は11か国・123機関から36万ドルの、2011年は4月時点で27.5万ドルの資金協力があった。
・ミラーサイトはあまり活用されてない。
・今後の予定には、arXivの著者IDをORCIDなど他のID体系にリンクさせることや、Linked Dataへの対応などが含まれる。

arXiv: Integrating disciplinary repositories with multiple partners and services (PDF:21ページ)
https://indico.cern.ch/getFile.py/access?contribId=6&sessionId=3&resId=0&materialId=slides&confId=132638

JCDL2011
http://www.jcdl2011.org/

Data Conservancy
http://dataconservancy.org/

参考:
コーネル大学図書館、プレプリントサーバ“arXiv”への資金協力を求める
http://current.ndl.go.jp/node/15680

arXivの収録論文数が50万件を突破
http://current.ndl.go.jp/node/9046

E1070 – ディジタル図書館に関する国際会議JCDL/ICADL2010<報告>
http://current.ndl.go.jp/e1070