人文学におけるオープンピアレビューの動向

2010年8月23日のNew York Timesに、人文学におけるオープンピアレビューの動向を紹介する記事が掲載されています。オープンピアレビューとは、学術雑誌の質を維持するために多くの場合これまで匿名で行われてきた査読を、「オープン」な形で行うことを意味するものです。記事で紹介された学術雑誌“Shakespeare Quarterly”では、従来の査読制度と新しいオープンな査読制度を取り混ぜてオープンピアレビューが行われたとのことで、まだアクセプトされていない4つの投稿論文を“MediaCommons”のウェブサイト上で公開し、同誌の査読員が署名付きでコメントを付ける、また他の閲覧者も名前を登録した後で査読に参加しコメントを付けることができるようになっていたとのことです。他方で、このような査読制度の変化に対して、オープンピアレビューで付けられるコメントが包括的で概念的なものではなく、短く断片的で挿話的なものにならないかなどと懸念する他の研究者らの意見も、New York Times紙では紹介されています。

Scholars Test Web Alternative to Peer Review (2010/8/23付け New York Timesの記事)
http://www.nytimes.com/2010/08/24/arts/24peer.html

Shakespeare Quarterly (ページ中ほどにオープンピアレビューで公開された論文とそのコメントを見ることができます。なお、査読期間はすでに終了しています。)
http://www.folger.edu/template.cfm?cid=542