2.6 学術系の電子書籍サービス

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 学術系の電子書籍サービスでは新たな動向が見られる。小学館系のネットアドバンスが運営する辞書検索サイト「JapanKnowledge」はすでに利用者が定着し、安定的な成長を見せているが、それ以外にも丸善と日本化学会が運営する「化学書資料館」や紀伊國屋書店と米国OCLCによる「NetLibrary」などがある。

 「化学書資料館」は国内で出版された化学書を統合的に検索し、閲覧することができるサイトである。現在、日本化学会の編集による専門書・便覧・辞典が147冊、約83,300ページ相当の情報が集められている。

 また「NetLibrary」は学術系eBook(電子書籍・電子図書・電子ブック:和書・洋書)を17万タイトル以上含むコレクションで、日本・欧米の出版社500社が参加して、大学図書館、公共図書館、研究所など世界112カ国で16,000の機関が利用している。2007年11月より和書コンテンツが搭載され、2008年8月現在、40社547タイトルを提供している。

 NetLibraryは、(1)紙媒体に近い利用が可能、(2)全文横断検索、書籍内全文検索機能により、必要な情報をすばやく見つけることができる、(3)付箋をつけるイメージでマーキングできる、(4)コンテンツサーバーなどハードウェアを図書館に確保する必要がない、(5)購入した図書目録をOPACにロードすることにより、紙媒体と電子媒体を同一プラットフォームから提供できる、という利点が強調されている。

 またグーグルとは異なり、画像スキャンで書籍データを取り込むのではなく、書籍のDTP組版データの有無、DTP組版データからPDF作成可否、使用フォントのPDF埋込み可否、PDF埋込みフォントのエンコードの特殊性などの状態に合わせてNetLibrary搭載用データの作成方法を紀伊國屋書店が出版社に指示し、出版社が書籍データを作成するため、文字コードの問題なども含め検索精度が高いのが特徴である。(湯浅俊彦)

 

参照ウェブサイト

“eBook Japan”. イーブックイニシアティブジャパン. http://www.ebookjapan.jp/, (参照 2009-02-11).

“エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ”. http://www.nttsolmare.com/, (参照 2009-02-11).

“NetLibrary ebook”. 紀伊國屋書店. http://www.kinokuniya.co.jp/03f/oclc/netlibrary/netlibrary_ebook.htm, (参照 2009-02-11).

“電子書店パピレス”. http://www.papy.co.jp/, (参照 2009-02-11).

“NetAdvance”. http://www.netadvance.co.jp/, (参照 2009-02-11).

“Bbmf”. ビービーエムエフ. http://www.bbmf.co.jp/, (参照 2009-02-11).

“ビットウェイ”. http://www.bitway.co.jp/, (参照 2009-02-11).

“化学書資料館”. 丸善. https://www.chem-reference.com/, (参照 2009-02-11).

“MobileBook.jp”. モバイルブック・ジェーピー. http://www.mobilebook.jp/, (参照 2009-02-11).