E510 – 蔵書の亡失,対応策は「ホームレスへの貸出制限」?(米国)

カレントアウェアネス-E

No.86 2006.07.05

 

 E510

蔵書の亡失,対応策は「ホームレスへの貸出制限」?(米国)

 

 米国インディアナ州のPorter County Public Libraryでは,過去5年間に年間4,000ドル相当の蔵書が貸し出されたまま行方不明になっているという問題を受けて,去る5月に貸出しシステムを新しくしたが,その中に,地域内の施設にいるホームレスの人々への貸出しを制限するという規定が含まれていた。具体的には,ホームレスの人々に配布される利用カードは3か月間に限り有効で一度に借りることができるのは3冊まで,さらに17歳以下のホームレスの人には利用カード自体を発行しないという制限が加えられることになっていた。

 借りたまま返却しない人にホームレスの人が多いという傾向からこのような制限を加えたものとされるが,施設の運営者からは,図書館の資料をもっとも必要としている人々に対してこのような制裁を加えるのは適当でないとの批判も出されている。こうした批判を受けて,施設側と図書館側は貸出制限以外の解決法(施設に返却ボックスを設置し,借りた本を返しやすいようにするなど)を探るべく6月21日に改めて協議を行ったところ,貸出制限,利用カードの配布制限ともに撤回されることになった。

Ref:
http://www.thetimesonline.com/articles/2006/06/20/news/porter_county/
0457f2e3afa8b4f88625719200825575.txt

http://www.fortwayne.com/mld/journalgazette/entertainment/music/band
_profiles/14877964.htm