E395 – 地域の情報ハブとしての図書館 <文献紹介>

カレントアウェアネス-E

No.68 2005.10.19

 

 E395

地域の情報ハブとしての図書館 <文献紹介>

 

 図書館をハブとしたネットワークの在り方に関する研究会. 地域の情報ハブとしての図書館−課題解決型の図書館を目指して−. 2005, 76p. (オンライン), 入手先 < http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/05091401.htm >, (参照 2005-10-12).

 地域の自立と個人の生涯学習支援のため,公共図書館には新たな役割が期待されるようになっている。本研究会は,近未来における公共図書館サービスについて検討するため,文部科学省からの委託によって学識経験者や図書館関係者,市民代表等により組織されたものである。報告書は,研究会でのこれまでの議論をもとに,公共図書館をハブとした地域公共ネットワークの在り方を提言している。

 まず第1章で,地域社会の役割への期待,情報通信技術(ICT)の進歩などの背景に触れつつ,図書館のあるべき姿を「地域の情報拠点となる課題解決型の公共図書館」として示す。続く第2章では,公共図書館ネットワークの現状,地域課題の解決に寄与している国内外の先進事例の分析から,情報検索およびレファレンスの専門家としての司書サービスと多種多様な情報資産とを有機的に結合させた,重層的ネットワークの必要性を説く。第3章では,ビジネス支援(CA1523参照)や行政情報提供など期待される6つの取組課題候補を提示する。それぞれの課題について具体的な利用イメージを示し,利用者の「役に立つ」情報を届けるまでの業務フローを考察する。第4章,第5章では,各課題に対応するために要請される業務要件およびサービス要件について述べ,国によるモデル的な実証実験が必要であるとしている。

 これまで公共図書館に無縁だった住民に対し,課題解決の提案という形での主体的なアピールを行い,サービスの革新的な向上を図る企画力が各館に求められると報告書は締めくくっている。

Ref:
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/index.htm
CA1523