E230 – 米国の著作権侵害誘発法案−著作権侵害行為の範囲を拡大

カレントアウェアネス-E

No.42 2004.08.18

 

 E230

米国の著作権侵害誘発法案−著作権侵害行為の範囲を拡大

 

 6月22日,米国上院に「2004年著作権侵害誘発法案(Inducing Infringement of Copyrights Act of 2004)」(S. 2560)が提出された。この法案は,著作権の侵害について定めた合衆国法典17巻第501条の文末に,著作権の侵害を「意図的に誘発(intentionally induces)」したものは法的責任を負うとの規定を加えるものである。ここでいう「意図的に誘発」とは,著作権の侵害を意図的に援助,教唆,助言,斡旋することのほか,こうした誘発の意思が行動から見受けられる場合も含まれる。

 この法案は,米国著作権局や音楽業界などから支持を集めているが,法案が成立すればインターネット上でのファイル交換に用いられるPtoPネットワークやビテオデッキまで非合法化することもできることから,多くのハイテク企業や権利擁護団体からは規制の強化によって技術の発展が妨げられる恐れがあるとの批判がある。また,1984年のいわゆる「ベータマックス訴訟」(最高裁は,著作権を侵害する使い方をされる恐れのある製品であっても,著作権を侵害しない使い方がある限り製作者は二次的責任を負わないとした)の見直しを迫られる,といった事態も考えられる。

Ref:
http://news.com.com/2100-1027-5278980.html
http://news.com.com/2100-1028-5238140.html
http://www.libraryjournal.com/article/CA441035