E2139 - NDL,「デジタル化資料活用ワークショップ」を開催<報告>

カレントアウェアネス-E

No.369 2019.05.30

 

 E2139

NDL,「デジタル化資料活用ワークショップ」を開催<報告>

 

 2019年3月7日,国立国会図書館(NDL)は,関西館で「デジタル化資料活用ワークショップ~図書館送信を使いこなす~」を開催した。全国から約30人の公共図書館,大学図書館の職員が集まり,NDLの図書館向けデジタル化資料送信サービス(以下「図書館送信」;CA1911参照)の更なる活用方法について学び,考える場となった。

 振り返れば,図書館送信は2014年1月の開始以来5年を経て,本サービスに参加している図書館数も今や1,000館を超えている。これは,全国の公共図書館や大学図書館の総数(約5,000館)に比してみれば決して大きな数ではないものの,参加するために必要な端末の準備や承認申請手続,各図書館の規模や実情の差などを考えると,一定の数であるとは言える。

 新たに図書館送信に参加する図書館の数は,現在も年間およそ100館から150館程度で推移しており,今後も参加館数の増加は続くものと見込まれる。

 このような状況で参加館数の次に目が向くのは,図書館送信が実際どのように使われているのか,という点である。2017年12月,サービス開始から3年間の状況をCA1911で報告した際も,参加館数の増加にともなって1日当たりの平均閲覧点数及び同複写点数が大きく伸びていることが分かった。全般的な傾向としては図書館送信が少しずつではあるが参加館において浸透し,活用されてきていると言えよう。静岡大学附属図書館が取り組み,実現した同館OPACの改修はその最たる例である(CA1913参照)。

 一方で,年間を通じて全く利用のない参加館も残念ながら存在している。更なる活用のため,国立国会図書館デジタルコレクション(以下「デジコレ」。デジコレは図書館送信を支えるサービス基盤)に,資料を特定のテーマや分類等で簡単に検索できる1クリック検索のページを用意するなど,NDLは取組みを続けている。

 今回のワークショップは,そのような取組みの一環として行ったものである。何よりも,複数の参加館から担当職員が一堂に会し,実際にデジコレを使って資料を検索したり,閲覧したりすることを通じて意見交換を行うことの意義は大きいと考えた。以下,その概要を報告するとともに,ワークショップを通じて得られた知見についても簡単にふれておきたい。

 まず午前の部では冒頭,デジコレの概要や操作方法のコツ等についてNDLの担当職員から説明した後,岐阜県図書館の和田聖子氏から,続いて広島市立中央図書館の髙安紀子氏から報告があり,それぞれの図書館における利用状況とともに,図書館送信を活用して利用者に資料を紹介したレファレンスの事例や,自館のウェブサイトに大きくデジコレの案内を掲載するなど利用推進のための取組みが紹介された。両氏の発表からあらためて,図書館送信は自館の所蔵資料を増やすのと同様の効果があること,またレファレンスに有用であることが認められた。

 午後の部に入り,図書館送信の魅力を伝えるべく,NDLの担当職員から資料探索の道程とともに活用事例を紹介し,続けて参加者同士でグループワークを行った。

 グループワークでは,どのようにすれば図書館送信の魅力を利用者に訴えることができるかを念頭に置き,グループごとに地域の人物・文化・特産品,特定の機関の歴史といった具体的なテーマを考え,実際にデジコレで資料を検索したり,確認したりしながらテーマにかなう文献や写真等を探した。設定したテーマによっては,なかなか好適な資料にめぐり会えず,探索が難航するグループもあったが,テーマを別の角度から眺めて探索し直したり,別のテーマを設けたりする等,参加者各々が自らの経験や知見を持ち寄って活発に議論を交わした。

 グループワーク後にその結果を一同の前で発表し,質疑応答も含めて意見を交換した。発表では,資料探索の成功例のみならず失敗例,例えば郷土の人物について肖像や地図等も含めて多様な資料が見つかった成功例や,反対にテーマの切り口を大きくしたために思うような資料が見つからなかった苦労についても報告され,参加者はそのいずれにも熱心に耳を傾けていた。

 活用方法を考える上で成功例が良い導き手になるのは勿論だが,デジコレに得意分野とそうでない分野があるため,失敗例を知ることもやはり良い経験である。参加者がこの両面にふれられるのがグループワークの優れた点であろう。参加者からのアンケートにもグループワークへの好感は明らかであった。

 当初の定員を大幅に超える応募があった今回のワークショップであったが,図書館送信の活用を図り,参加する図書館に対し真摯に応えるためにも,今後の取組みに際し,今回得られた知見を生かしていきたい。

関西館文献提供課・加藤大地

Ref:
https://www.ndl.go.jp/jp/event/events/20190307digi_info.html
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2018/190201_01.html
http://www.jla.or.jp/library/statistics/tabid/94/Default.aspx
https://www.ndl.go.jp/jp/event/events/20150320digi_info.html
CA1911
CA1913
CA1912