E1943 - 青山学院大学図書館における「図書館webカウンター」の試み

カレントアウェアネス-E

No.331 2017.08.24

 

 E1943

青山学院大学図書館における「図書館webカウンター」の試み

 

   青山学院大学図書館本館では,オンラインでの図書館利用講習会の試みとして,2017年6月26日から6月30日まで「期間限定!図書館webカウンター」を実施した。以下,経緯・結果・展望などについて報告する。

●実施に至る経緯

   青山学院大学の図書館には本館(青山キャンパス),万代記念図書館(相模原キャンパス)があり,青山本館は主に人文・社会科学系の学部・大学院の学生(約1万5,000人)に利用されている。青山本館での利用講習会の開催回数は年間約230回,参加学生約3,300名に上り,熱心な参加者が多いが,講師の説明や質問に対して必ずしも積極的な反応があるとは限らなかった。そのため,かねてより学生の反応をリアルタイムで把握できるツールの活用を検討してきたが,独自のツール作成は図書館にとって現実的ではなく,Twitterなどの学生に身近なSNSはリアルタイムで反応が分かるものの,事後のデータ活用等に不向きである。

   そこで,図書館,参加者ともにスマートフォン・タブレット・パソコンから利用できる点,設問への投票やコメント投稿機能,アンケート機能に加え,参加者属性表示や特定のコメントの拡大・非表示などができる投稿フィルタリングなどの機能を備えている点などを評価し,株式会社天問堂が提供するサービス「イマキク」を活用することにした。今回の試みは同サービスの集合しなくても実施可能というメリットを活用し,オンラインで講習会を開催しようというものであった。

●「図書館webカウンター」の内容

    参加する学生は,学内で配布したチラシやポスターに印刷されたQRコードやURLからスマートフォンやパソコンのブラウザを用いて「イマキク」にアクセスする。開始時刻になると,学部生・大学院生・教職員・卒業生・その他の選択肢から属性を選択する設問や,「図書館の地下にはどんな資料があるでしょう?」などの簡単な選択式の問題が画面に表示される。参加者が解答すると,図書館は正解と短いコメントを表示する。図書館は徐々に難易度の高い問題を表示し,学生は問題に答えながら内容を理解していけるような構成とした。
 

●当日までの準備

    青山本館専任職員が策定した年間計画に基づいて,参考業務専従スタッフが準備を担当した。各日1テーマ(後述)について2名ずつの担当者が,設問設定から,実施当日のリアルタイム対応,事後のアンケート整理までを一貫して行い,リーダー1名が全体を統括した。実施決定は2017年2月であったが,集中的に準備にあてられた期間は直前の2週間ほどであった。なお,告知は,チラシに加え,図書館ウェブサイト,学内・館内掲示,本学の学生向けポータルサイト「Aoyama-portal」,レファレンスカウンター前の特設大型ディスプレイでも行った。

   各日に設定したテーマは対面での講習会で実施したことがあるものを用いた。選択式の設問を中心に,記述式で解答する設問も交えて1日あたり10問程度を用意した。参加者が設問に解答したり,質問したりすることでアクティブな参加につながるようにした。

●実施の結果

    実施時間帯は昼休み(12時30分から13時20分まで)とした。テーマと参加者数は以下のとおりである。
 
  • 6月26日(月)「入門的な図書館利用案内」(19名)
  • 6月27日(火)「学内にある資料の探し方」(8名)
  • 6月28日(水)「日本語文献の探し方」(14名)
  • 6月29日(木)「海外文献の探し方」(8名)
  • 6月30日(金)「学内にない資料の探し方」(8名)

   26日の参加者には青山本館の職員4名が含まれている。28日のテーマは対面での講習会でも参加者が多い内容である。5日間の総参加者は57名,内訳は学部生30名(52.6%),院生9名(15.8%),科目等履修生2名(3.5%),教職員7名(上記4名を含む。12.3%),卒業生1名(1.8%),その他(協定校等所属者を含む。)8名(14%)であった。「今どこからアクセスしていますか?」という設問に答えた20名のうち,14名が「図書館内」,6名が「青山キャンパス内」であった。

   2017年4月下旬に,同じ時間帯の月曜から金曜に5回にわたって実施した,学部1・2年生を主な対象とした「ランチタイム・ガイダンス」は97名の参加者を集めたが,「図書館webカウンター」は参加者の数では劣るものの,反応ははるかに良かった。全般的に正答率が高く,「統計データベースで検索すると,ヒット数が多くて,何を見ていいかわからない」などの質問が寄せられるなど,図書館やデータベースをよく利用しているとみられる参加者が多かった。記述式解答や質問では,解答や質問に対する図書館からのコメントに対して,さらに参加者が書き込みをするなど,図書館と参加者との双方向のやりとりが多く見られた。

●今後に向けて

    今回の試みにおいて「イマキク」を採用したことは,現時点では最良の選択だったと感じている。ただ,投稿・投票機能は講義などで講師と受講者が同じ空間にいることを想定して作られているため,投稿・投票結果は講師側端末にのみ表示され,受講者側端末には表示されない。次回は投稿・投票の結果を参加者と共有できるように工夫してみたい。

   学生のために行った試みであったが,担当者にとっても以下の点で有意義な試みとなった。担当者は「参加者から即時に反応があるのがうれしい」と感想を述べており,また,質問に対して即座に判断し,文字で回答することに対する心理的ハードルを下げることにもつながった。将来的なチャットレファレンス(CA1652参照)の実施について具体的に検討する可能性が芽生えた試みであった。

   今回は試験的な取り組みであったが,参加者の反応の良さからも,充分な手応えを得ることができた。今後は実施時期や名称などを再検討し,新入生やあまり図書館を利用しない学生の参加を増やすことで,「図書館webカウンター」への参加を来館促進につなげていきたい。

青山学院大学図書館・西村香

Ref:
https://www.agulin.aoyama.ac.jp/ja/news/1127
http://tenmondo.com/products/imakiku/index.html
CA1652

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