E164 – 資料保存活動の歴史と取組み <講演会報告>

カレントアウェアネス-E

No.29 2004.01.21

 

 E164

資料保存活動の歴史と取組み <講演会報告>


 国立国会図書館主催により2003年12月5日(金)に東京本館,8日(月)には関西館において,英国の修復家クリストファー・クラークソン(Christopher Clarkson)氏とオクスフォード大学ボードリアン図書館修補製本課主任ロバート・ミンチ(Robert Minte)氏を招いての資料保存に関する講演会が行われた。

 クラークソン氏は1966年のフィレンツェ大洪水以来,現在の「資料保存」という考えの基礎を築きあげてきた。氏の講演は「フィレンツェ大洪水とその後の資料保存の発展」と題するもので,大洪水の惨状から始まり,大量に浸水した資料に対する洗浄や乾燥の方法,保存修復記録を言語の壁を越えて認識できるよう記号化して表記する工夫,米国議会図書館初代貴重書修復室長に就任してからの段階的保存の取組みなどについてのスライドを用いた内容豊かなものであった。

 またミンチ氏は「ボードリアン図書館の資料保存」というテーマで,同館設立の経緯や施設,同館で行われている資料保存活動についての講演を行った。

 なお,今回のクラークソン氏,ミンチ氏の招聘に関する報告は,『国立国会図書館月報』3月号に掲載される予定である。

(報告:村上直子)

Ref: 
http://www.bodley.ox.ac.uk/dept/preservation/