E092 – 学術出版社の大型合併への動き

カレントアウェアネス-E

No.16 2003.06.18

 

 E092

学術出版社の大型合併への動き

 

 学術出版界に新たな大型合併の動きがあった。欧州の投資会社シンベン社とカンドーバー社は,ドイツに本拠を置く世界的メディア企業ベルテルスマン傘下の学術出版社ベルテルスマン・シュプリンガー社を買収する契約を5月12日に締結したと発表した。同投資会社は,1月にも学術出版社大手のクルーワー社の経営権を取得しており,独連邦カルテル庁の審査を経て承認が得られれば,二者を合併する意向である。合併が実現すれば,エルゼビア・サイエンス社に次いで,科学技術系学術雑誌の分野において約2割のシェアを占める世界第2位の学術出版社が誕生する。

 この動きに対して,米国の情報アクセス連合(Information Access Alliance,注)は,学術出版市場の寡占が一層進行し,学術雑誌の価格高騰に拍車がかかる恐れがあると懸念を表明し,米司法省に対して合併を認めないように働きかけている。

(注)米国図書館協会(ALA),研究図書館協会(ARL),SPARC(CA1469参照)など,学術出版社の合併が学術雑誌に及ぼす影響について共通の関心をもつ6つの団体・組織により構成されている。

Ref:
http://www.arl.org/scomm/MergerRelease-530.pdf
http://www.bertelsmann.com/news/press/press_item.cfm?id=7711
http://www.svt-ebs.co.jp/subjects/news/bertelsmann200305.htm
CA1469