E079 – 議論を呼ぶドイツ著作権法の改正

カレントアウェアネス-E

No.14 2003.05.21

 

 E079

議論を呼ぶドイツ著作権法の改正

 

 4月11日,ドイツ連邦議会は,著作権法の改正法を可決した。今回の改正は,2001年の著作権に関わるEU指令を国内法化するための措置であり,著作物をネット上にアップロードする「送信可能化権(Recht der oeffentlichenZugaenglichmachung)」の導入が焦点の一つであった。

 法案審議で最も議論となったのは,「送信可能化権」の制限として,教育や研究目的のために著作物をネット上にアップロードすることを認める規定(第52a条)を設けることについてであった。すなわち,この規定により,著作物の一部,分量の少ない著作物,新聞雑誌の個々の記事については,教育機関における授業の参加者又は限られた範囲の研究者のグループに対して,著作権者の許可なしにネット上にアップロードすることが原則的に認められることになったのである。この規定の導入に対し,研究者は歓迎の意を表明しているが,一方でドイツ書籍出版販売取引業者組合や学術書出版社のグループは財産権の侵害と激しく抗議している。今回の改正法は,第52a条の適用を2006年12月31日までとしており,その後状況に応じて必要な改正を行うことが予定されている。

Ref:
http://chronicle.com/free/2003/04/2003041407n.htm
http://dip.bundestag.de/btd/15/008/1500837.pdf