E021 – ユネスコ,デジタル文化遺産の憲章とガイドラインの検討開始<報告>

カレントアウェアネス-E

No.4 2002.11.20

 

 E021

ユネスコ,デジタル文化遺産の憲章とガイドラインの検討開始<報告>

 

 2002年11月4日から6日まで,オーストラリアのキャンベラで「デジタル文化遺産(Digital Heritage)の保存に関するアジア太平洋地域検討会」が,ユネスコの主催,オーストラリア国立図書館の協力の下,13カ国1地域1国際機関から約40名が参加し,開催された。日本からは国立国会図書館が参加した。

 今日,出版物はもちろん,記録類,学術データ,画像,通信など,我々の知的活動の多くがデジタル技術という不安定な技術によって作成,記録,流通している。これらデジタルで作成された情報を将来に継承してゆくためには,なすべき課題が多い。会議に先立ちオーストラリア国立図書館はユネスコからの委託を受け,「デジタル文化遺産保存のためのユネスコ・ガイドライン案」および「デジタル文化遺産保存憲章草案」を準備した。会議は全体会議と4つの分科会に分かれて行われ,「ガイドライン案」および「憲章案」の案文を審議し,また電子情報保存の取り組みについて意見交換を行った。

 「ガイドライン」は,今後,ラテンアメリカ,アフリカ,バルチック諸国での検討を経て,来年春の制定を目指し,また,「憲章」については,来年1月に予定される第32回ユネスコ総会に提案し,2005年の第33回総会にて採択することを目途として,準備を進めることになっている。

(報告:田屋裕之)