CA922 – 目次情報の記録による書誌情報充実を / 横山幸雄

カレントアウェアネス
No.173 1994.01.20


CA922

目次情報の記録による書誌情報充実を

書誌情報の検索手段がカード目録・冊子体目録からOPACやCD-PACに移行するにつれ,以前は検索対象として考慮すらされなかった書誌的要素が,検索システムの性能次第で,書名や著者名と同様に検索可能となってきている。従来から行われている内容注記も,その範囲拡大,インデックス処理に対応した構造化・標準化により,検索機能の充実に寄与することは言うまでもなかろう。

カリフォルニア州立大サン・ディエゴ校図書館における調査は,内容注記の遡及入力に関する興味深いデータを提供している。調査結果を詳細に記す余裕はないが,同調査の

  • 図書の目次情報を内容注記として追記する(ただし,取捨選択的に行う)
  • 目次情報は2種類に分けて記録する( 1):著者+書名,2):章節見出し)

という方針は,書誌情報の充実に向けた実行可能な手段を示唆しているものと思われる。

同調査では,対象資料375点の書誌レコード全てについて機械的に目次情報を追加するのではなく,事前の分析により情報追加の価値ありとされた85点について作業を行っている。この割合(約23%)は当然ながら付加価値判断の基準に左右され,図書館の蔵書構成,整理区分の違い等の影響も無視できない。

国立国会図書館の和図書においては,内容細目を持つ書誌レコードは全体の約21%という数値が算出されたことがあるが,内容著作数の多寡に限らず記録を行うか,学術的な資料に限って記録するか,判断基準の作成・見直しが必要となろう。また,日常の目録作業では目次と本文とで見出しが相違する資料を散見するが,より「正確」な書誌情報を目指すのか,「目次情報」としてあるがままを記録するのかという問題もある。

次に,記録を2種類に分けるのは,目次形式の違いにより,構造化,索引化の方法が異なるためと推量されるが,この区分は日本語の目次情報の場合も有効な分け方であると思われる。

1)は構成書誌単位に相当するものであり,単行書誌単位(本書名,副書名,著者…)と同様の構造化によって,個々の短編名や,論文集の各著者からの検索が可能となる。

2)は主題検索に関係している。ことばによる主題検索は,従来から件名によっていたが,一方ではそのなじみにくさ,分析深度の浅さ等により,他方では書名中のキーワードからの検索が可能となったことにより,件名のみでは主題検索に対応できないという状況になっている。目次情報中から上記 2)のデータを取り込むことで,より充実した主題情報を提供できる可能性が高まることになる。

どの資料についてどの範囲で内容情報を記録するか。目録担当者の高度な判断も必要だが,目次情報のOCR読み取り技術等を駆使すればデータ作成自体はさほど困難なことではない。図書館資料の全文データベース化や電子媒体資料の増加,はては件名のシソーラス化という近未来の話はさておき,現行の目録作業の体制・技術の範囲でより豊富な書誌情報をといえば,内容情報の充実にとどめをさすのではないだろうか。

横山幸雄(よこやまゆきお)

Ref: Weintraub, Tamara S. and Shimoguchi, Wayne. Catalog record contents enhancement. Libr Resour Tech Serv 37 (2) 167-180, 1993
本田一治 和図書書誌データにおける自動処理の試み りんけえじ (83) 1-10, 1990