CA878 – 「図書館情報学資料関係連絡会」活動状況 / 竹中清一郎

カレントアウェアネス
No.165 1993.05.20


CA878

「図書館情報学資料関係連絡会」活動状況

去る3月16日慶応義塾大学三田情報センター(現・三田メディアセンター)において「図書館情報学資料関係連絡会」の第4回目の会合が開催された。今回は<メンバー機関のサービス制度の比較,資料の相互貸借,機関相互の連絡体制,灰色文献の分担収集>等をメインテーマとして意見交換を行った。

この連絡会は,図書館情報学関係資料を収集し,利用に供している関東近辺の下記6機関によって平成3年9月に組織されて以来,春秋年2回のペースで開催されている。会場は6機関の持回りになっている。

当連絡会で取り上げるべきテーマは,第1回の会議で参加機関合意の上で決定した。第1回〜第3回までのテーマの主要な項目と開催会場を紹介する。

第1回 参加各機関の業務,所蔵資料等の概要の報告。連絡会の運営方針。ここでほとんどの機関から資料の保管スペースの不足が挙げられたことが特徴。於:国立国会図書館第2回 参加各機関の資料整備業務(収集・整理・保存)の現状と問題点。於:日本科学技術情報センター第3回 参加各機関の資料提供業務(相互利用を含む)の現状と問題点。於:図書館情報大学附属図書館

毎回出席率は良好で(毎回12,3名),報告,意見交換も見学時間を除いた2時間では足りないほどで,各機関とも極めて積極的であった。これは最初から“成果”を欲張らず,当面は実務担当者の意見交流の場として連絡会の性格を位置づけたことが良かったからだと思われる。開催テーマごとにそれぞれの出席者が属している図書館・資料室の問題点,悩みを報告し,また他機関への疑問,要求を忌憚なく述べることが出来たのである。

事務局としては同種の機関との交流の場を持つことは初の試みであり,ほとんどの機関が人員不足の中にあって,会への参加,或いは持ち回りの負担等を心配しないではなかったが,文献にのみ頼るとか机上の議論に偏らず,他館を訪問することに参加機関が意義を認め,今後も継続していくことにメンバー全員が合意して今回に到った。

これまで二度図書館情報学の専門研究者にも参加をお願いしてきているが,研究者の利用者の立場からの提言に,しばしば問題の所在がはっきり浮び上ることがあった。事務局としては今後も出来るだけ専門の研究者の参加協力を仰ぎたいと思っている。

目に見える成果を急いでいるわけではないが,既に参加機関相互に資料面での協力の話が具体化して来ている局面もある。

次回(第5回)は6機関それぞれがどのような灰色文献を,どの程度分担収集出来るかを今秋9月に持ち寄ることになっている。会場は東京大学教育学部図書室である。前回の議論を受けて,テーマも絞られ,灰色文献をめぐっての様々な見解,提言が出される活発な議論の場となることが期待される。

最後に組織と参加機関を紹介する。

組織名称:
図書館情報学資料関係連絡会
参加機関:
慶応義塾大学三田メディアセンター,国立国会図書館図書館研究所,東京大学教育学部図書室,図書館情報大学附属図書館,日本科学技術情報センター資料部,日本図書館協会
開催頻度:
年2回
事務局:
国立国会図書館図書館研究所

竹中清一郎(たけなかせいいちろう)