CA832 – 洋図書のOPACを提供開始 / 内田房子

カレントアウェアネス
No.157 1992.09.20

 

CA832

洋図書のOPACを提供開始

国立国会図書館(NDL)では,7月22日より洋図書目録のオンライン・サービス(OPAC)が開始され,1986年9月から構築を始めた「洋図書データベースB001」を,本館目録ホールに設置した2台の端末機によって直接利用することができるようになった。

書誌情報のオンライン入力の開始以後,カード目録の作成・編成作業が打切られ,1948年から提供されてきたカード目録は,完結していないセットものなどの追記作業を除いて1986年8月をもって凍結された。B001のデータは機械出力による冊子体目録(書名,著者名,分類)の形で提供されてきたが,標目の副出,シリーズ名,件名等の検索が不可能であった。OPACの導入により,これらの点が解決され,さらに多くの項目からのアクセスが可能となった。

この度提供された洋図書OPACは,メニュー方式による簡易検索ソフトであり,検索方法,画面遷移についてはすでに提供されている機械検索目録,和図書(J-BISC),科学技術関係欧文会議録(EBIR)に準拠している。

B001は,US-MARCからのコピーカタロギングを主流とし,そのレコードフォーマットもUS-MARCに準拠している。そのため多くのデータ項目をもった複雑なデータベースとなっており,OPACでの検索メニュー画面の項目も多い。各項目の組合せ検索によりかなり特定化した検索が可能であるが,これはまた検索方法を正しく知らないと所蔵している資料を検索できないことにも繋がる。それぞれの画面でのHELP機能や,検索台に置かれている各種マニュアルを参考にして各項目の機能を知ったうえで検索を行えば,より的確で効率のよい検索が可能である。

メニュー画面では,書名・シリーズ名,著者名,団体名,会議名,著者(個人名完全形),件名,人名件名(完全形),NDL分類,刊行年,出版者,ISBN,NDL請求記号,言語コードの13の検索項目が用意されている。

書名・シリーズ名の項目で検索できるのは,『英米目録規則 第2版』による記述の「タイトルと責任表示」「シリーズ」「内容注記」にあたる部分であり,探したい資料の著者や書名がわかっている場合は,ここにその資料を特定できる語を2,3選んでいれて検索すればよい。著者名,団体名,会議名の項目ではコントロールされている標目を検索することになる。資料で使われている語と標目の語が異なる場合は参照がつくられていて統一形に導かれる。著者名(個人名完全形)では,標目としてコントロールされた著者の姓,名,生没年,付記事項などの全体を一語とみなし,個人を特定化して検索することができる。件名は「国立国会図書館件名標目表」により日本語の件名が付与されているので,訓令式ローマ字か,漢字で検索する。個人件名(完全形)は,主題として扱われた人物を特定化して検索することができる項目である。

書名・シリーズ名,著者名,団体名,会議名,件名,出版者の項目では,語を*(AND検索)か+(OR検索)の記号で結んで入れて検索する。項目間はAND検索に設定されているが,OR検索にも変更できる。又,多くの項目で,検索語の一覧ができる「窓」が開くようになっている。語の一部をいれ「用語一覧」のキーを押すと,その文字列以降の語を一覧することができ,必要な語があれば,そこからメニュー画面に取り込むことができる。特に完全形の項目では,検索語が長くなり正確にいれることが難しいので,姓だけをいれて用語一覧を見てから取り込むのがよい。メニュー画面に必要な語を入力し,検索キーを押すと検索結果の書名と著者が一覧表示される。探しているデータがあったら,番号を選んで詳細画面を見る。詳細画面では,資料請求に必要な項目が黄色で表示されている。

NDLでは,1986年6月より洋書の整理の範囲に変更があり,アジア諸言語資料,政府間国際機関(国連等)発行の資料,貴重書等の専門資料群および非図書資料が,それぞれの資料室で整理されることとなり,年刊やそれを超える刊行頻度の資料も逐次刊行物として扱われるようになった。これらの資料はB001に収録されていないので該当する資料室に尋ねるか,外国逐次刊行物目録を検索しなければならない。又,1987年以降刊行の資料でもセットものの一部としてカード目録に記録されるものがある。旧くから刊行され続けているものはカード目録もみる必要がある。

内田房子(うちだふさこ)