CA1334 – LC創立200年,記念行事が目白押し / 北川知子

カレントアウェアネス
No.251 2000.07.20


CA1334

LC創立200年,記念行事が目白押し

米国議会図書館(LC)は2000年4月24日に創立200年を迎えた。1,000冊に満たない蔵書から出発したLCは,今や図書,フィルム,写真,地図,音楽映像資料,楽譜,電子資料など1億1,500万点を所蔵する世界屈指の図書館である。

創立200年記念行事は,「図書館,創造,自由」をテーマに,記念切手,コインの発売,記念出版物の発行,コンサート,展示会,シンポジウムなどさまざまな形で行われており,2001年初めまで続く予定である(CA1190参照)。

4月24日の創立記念日は,記念切手とコインの発売で幕を開けた。午後には「LC200歳バースデーパーティ」が開催され,マジシャンのデビッド・カッパーフィールド,経済学者のJ.K. ガルブレイス,バイオリニストのアイザック・スターンなど著名人が読書の重要性を語り合った。アメリカの図書館と名付けられた家族向けの新しいWebサイト(http://www.americaslibrary.gov)や,トーマス・ジェファーソン展示会の公開もこの日に始まっている。

「書物なしには生きられない」と語ったジェファーソンは,自由な国家もまた書物なしでは存在しえないと考え,LCの蔵書が英軍により焼却されると自分の蔵書を議会に売却した。今日のLCの蔵書構築が,当時個人の蔵書としては最高級と言われたジェファーソンの蔵書の幅広さを反映しているのは言うまでもない。展示会の目玉は,ジェファーソンの蔵書の再現で,1815年の春に住まいのモンティチェロからワシントンに到着した6,487冊の本が今回一箇所に集まり,しかもジェファーソン自身が分類した通りに並べられている。(LCは1851年にも火災に遭っており,ジェファーソンが売却した蔵書も3分の2が焼失した。したがって今回展示されている資料には,のちにLCが購入したものが含まれている。)そのほか,ジェファーソンの生涯をたどる資料も展示されている。

展示会「オズの魔法使い―アメリカのおとぎばなし」も開催中である。今年はライマン・フランク・ボームの”The Wonderful Wizard of Oz”が,LCで著作権登録をしてから100年目にあたる。ボームの直筆によるLCへの著作権登録申込書をはじめ,初版本,ボームのオズの国についての13冊の本,飛び出す絵本,大ヒットした1939年の映画のさまざまなシーン,映画でドロシー役のジュディ・ガーランドが履いていた赤い靴など,この展示会は大人も子供も楽しめるものになっている。

また,昨年6月には「21世紀における精神のフロンティア」と題された記念シンポジウムの第一弾が開催され,24の分野における傑出した研究者約50名が20世紀の知の発展を総括し,21世紀への展望を語り合った。

今年10月には資料保存関係のシンポジウムや「世界の国立図書館―過去から未来へ」と題された国際シンポジウムも予定されている。このシンポジウムでは,世界各国の国立図書館の館長が集まり,国立図書館の過去を振り返り,今日,国立図書館が直面している問題,21世紀の課題について議論する予定である。

また,11月には「21世紀の書誌コントロール」をテーマにシンポジウムも予定されている。ここでは近年図書館が直面しているWWWで利用可能な電子資料の整理の問題をとりあげ,さまざまなフォーマットの資料への書誌コントロールについて議論する予定である。

すでに開催された記念行事や今後の予定については,創立200年のためのWebサイト(http://www.loc.gov/bicentennial/)に詳しく,海外からもLCの創立記念行事を楽しむことができる。

北川 知子(きたがわともこ)

Ref: Libraries, creativity, liberty: the Library of Congress, 1800-2000. LC Inf Bull 59 (2) 23-25, 2000
'Frontiers of the mind': symposium looks to the future. LC Inf Bull 58 (7) 162-166, 1999