CA1127 – 図書館員のレイオフ−メトロポリタン・トロント図書館の場合− / 松井一子

カレントアウェアネス
No.213 1997.05.20


CA1127

図書館員のレイオフ
−メトロポリタン・トロント図書館の場合−

メトロポリタン・トロント図書館(以下MTRL)は1月1日,250万ドルの予算削減に対する措置の一つとして,職員311人中36人をレイオフ(一時解雇)した。今回の削減は大トロント圏と州政府の両方から行われたものであるとのことである。大トロント圏とはトロント市を中心に周辺の5自治体を加えた広域行政体(人口約219万人)であり,MTRLはその中心図書館として,1995年度の来館者数は123万人を越える大規模館である。

現在自治体からの予算配分は1,700万ドルで運営費総額は前年比4.6%減,職員が予想していたよりは良い数字であった。分館を閉鎖する必要はなくなったものの,本館は今年2週間休館する予定である。

MTRLは退職希望者を募ったり退職年齢の引き下げを実施することにより,前年度も85人の職員を削減した。そしてさらなる人員整理のため,仕事量の少ない職場10か所を統合している。

今回レイオフされた36人のほとんどは,司書あるいは司書補である。このような事態を他人事として受けとめるだけではなく,図書館界全体で対応を考えていかなければならない時期が来ているのではないだろうか。

松井 一子(まついかずこ)

Ref: Library Journal 122(2)22,1997
Metropolitan Toronto Reference Library Annual Report 1995
栗原嘉一郎 欧米の図書館 丸善 1995