CA1005 – 中国語文献データベース国際セミナー / 西田元子

カレントアウェアネス
No.189 1995.05.20


CA1005

中国語文献データベース国際セミナー

1995年2月27日から3月4日まで,中国広州の中山大学で中国語文献データベース国際セミナーが開催された。中国国家教育委員会文化文献情報センター,中山大学,OCLCの三者が主催し,広東省中山図書館,広州図書館,深■[■は土偏に川]大学図書館,深■図書館が共催,アメリカの嶺南基金会の援助を得て開かれたもので,中国語文献データベースに関する国際会議としては初めてのものである。

中国大陸,台湾,香港,アメリカ,オーストラリア,オランダ,日本から政府機関,大学・研究機関の研究者,図書館員,情報サービス業者等約90名が参加した。発表論文は50編余,「中文文献数据庫国際研討会論文集」として中山大学図書館が発行する季刊誌「高校文献信息学刊」の1994年第3-4期に収録し,参加者に配布された。

第1日の午前,キャンパス内の会議センター嶺南学堂で開幕式に続き3編の論文が発表された。午後から第3日午前まで 1)発展の現状と対策 2)標準化とネットワーク建設 3)設計と開発の三つの分科会で各々15編程の論文発表,質疑応答が行われた。第3日午後,全体会議では各分科会の討論状況の報告があった後,主要論文の発表が改めて行われた。台湾技術服務社胡■乾氏[■は王偏に宗]の「NII計画の下で中国語文献データベースを発展させるための方策」,北京図書館朱岩氏の「環太平洋文献情報ネットワーク」,台湾国立中央図書館鄭恒雄氏の「台湾における書誌ネットワークの建設と発展」,香港中文大学黎民頌氏の「香港中文大学文献検索データベース:香港紙の全文データベース計画」であった。続いて台湾大学林光美女史が台湾におけるデータベース構築状況を紹介した。

第4-6日は上記協催館の見学が広州,深■の名所,旧跡の遊覧を交えながら行われた。中国図書館界の中でも機械化の水準が高い諸図書館が地域の社会状況に合致した多様なサービスを提供している姿を見ることができた。

第6日午前,会場を深■図書館に移して閉幕式が行われた。各国からの参加者に対する心遣いがこもった総合司会を勤めた元北京大学図書館長荘守経氏が概略次のような挨拶をした後,6日間にわたるセミナーの終了を告げた。「中国語文献データベースに関する初の国際セミナーが多数の参加者を得て成功裏に終わろうとしている。各国,各地域の図書館関係者が各々の経験と現状,問題点を相互に紹介し,活発に討議できたことの意義は大きい。標準化,規格,著作権保護,漢字処理技術等多くの困難な問題を解決していかねばならないが,セミナーを通して得られた成果と人的交流を基礎に,図書館人が協力してデータベースの発展をはかり国際的なネットワークを構築し,リソースシェアリングの実現をはかっていこう。」

アジア,欧米,オセアニア諸国を視野に入れつつ,両岸の図書館界の交流は始められている。今後の動向に注目するとともに,日本においても当館や関係機関が協力し,先発機関の成果を取り入れ,国際性のある中国語文献データベースの構築へ向けて具体的な活動をすすめるべきであろう。

西田元子(にしだもとこ)