アーカイブ - 2018年 6月 - book

6月 29日

CA1931 - 動向レビュー:ビデオゲームの目録作成とメタデータモデルを巡る研究動向 / 福田一史

 今や、ビデオゲームは世界中で幅広く受容される文化資源となった。さらには、ビデオゲームをテーマとするカンファレンスが多数開催され、専門的にビデオゲーム開発を教える教育機関も各地に設置されるなど、多くの教育・研究実践が展開されている(1)

CA1929 - 慶應義塾大学「からだ館」10年間の歩み―図書館を拠点にした健康コミュニティへの総合的アプローチ― / 秋山美紀

 山形県鶴岡市の鶴岡タウンキャンパスには、慶應義塾大学、東北公益文科大学、鶴岡市の三者が共同運営する図書館「致道ライブラリー」がある。運営する3 組織が1:1:1の割合で知的資産を共有、共同管理・運営する図書館であり、生命科学を中心とした自然科学系の資料、公益学に関係する人文・社会科学系の 資料など約3万5,000冊を所蔵し、3人の司書が日々の業務を担っている。この図書館の一角を拠点にして、住民の健康を情報面からサポートしているの が、慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究プロジェクト「からだ館」(1)である。本稿では、「からだ館」の10年間の歩みから見えてきた、住民の健康づくりの拠点としての図書館の可能性を示す。

CA1928 - 学校と公立図書館の連携による学校図書館の活性化 / 山崎博樹

 近年、関係者の努力によって学校図書館の役割と必要性が認められつつあり、それは2014年の学校図書館法改正での学校司書明文化(E1597参照)に繋がってきた。しかし、学校図書館の資料や人的基盤は厳しいものがあり、教育関係者を含む一般社会の理解も未だ不十分なものと言える(CA1902参照)。その状況の中で公立図書館が学校図書館と連携し、図書館の利用者を共に育てていこうとする取り組みが全国で見られるようになってきた。筆者は図書館サービス向上委員会(1)において、2016年度より、学校図書館と公立図書館の連携を中心とした様々な情報を全国に発信する「元気な学校図書館プロジェクト」(2)を推進している。このプロジェクトでは、全国様々な地方公共団体の公立図書館と学校図書館との連携状況を訪問取材し、ウェブサイト「りぶしる」(3)により全国に発信している。この小論ではこの取材から得た公立図書館と学校図書館との連携状況から、その課題と成果について紹介したい。

CA1925 - 大阪市立図書館デジタルアーカイブのオープンデータの利活用促進に向けた取り組み / 澤谷晃子

大阪市立図書館は、2017年3月2日に当館デジタルアーカイブ画像の一部をオープンデータとして提供を開始した(1)。公共図書館では初の試みであり、新聞・雑誌等に取り上げられるなど多くの反響があった(2)。その後も、資料展示、インターネット上でのバーチャル展示「Webギャラリー」(3)での紹介、オープンデータ画像検索・加工講座の開催など、継続した取り組みを行っている。そうしたなか、2017年秋には、20年間継続してきた地域資料のデジタル化とその公開、また、今後のビジョンを示したことを評価され、Library of the Year(LoY)2017優秀賞を受賞した(4)。本稿では、LoY2017優秀賞受賞までの道のりと、以降のオープンデータ利活用促進に向けた取り組みを中心に紹介する。当館デジタルアーカイブの概要やオープンデータ化への取り組みについては、『図書館雑誌』2017年6月号および『専門図書館』2017年11月号に掲載されているので、あわせて参照していただきたい(5)(6)

6月 28日

E2038 - 図書館への資金拠出に関して有権者の支持を得るには(米国)

2018年3月,公共図書館(以下「図書館」)への資金拠出を活発化させるため,誰に,どのように働きかけることが有効かという問題意識のもと,米・公共図書館協会(PLA)・米国図書館協会(ALA)・OCLCが共同で実施した調査の報告書“From Awareness to Funding: Voter Perceptions and Support of Public Libraries in 2018”が公開された。OCLCが2008年度に行った調査(E818参照)のその後の変化を把握し,今の時代に即したアドヴォカシー活動を提案することが目的である。

E2036 - YouTubeが国際標準名称識別子(ISNI)の登録機関に

2018年1月,国際標準名称識別子(ISNI)国際機関は,動画共有サイトを運営するYouTubeが新たにISNIの登録機関になったことを発表した。ISNIは,著作,実演,研究,出版といった創作活動の分野を問わず,メディアコンテンツの生産,流通,管理に従事している個人や団体に使われることを想定したクリエイター識別子の国際規格(ISO 27729:2012)で,付与対象はクリエイターの「公開アイデンティティ」である(E1773参照)。登録機関は,ISNI国際機関の管理の下,特定領域や特定地域において自身が管理するデータのみならず他機関が管理するデータについてもISNIの付与を行う権限が与えられている。2018年6月25日現在,登録機関は,各国国立図書館や共同書誌作成機関等19機関で,登録されたISNIの総数は約986万件である。YouTubeは,音楽コンテンツにISNIを付与する初めての登録機関であり,ISNIにとっては,ウェブ上の音楽配信サービスにおけるユースケースを示す絶好の機会が与えられたことになる。

E2037 - IFLAグローバル・ビジョン・ワークショップ<報告>

2018年5月23日から25日にかけて,ベトナム国立図書館において国際図書館連盟(IFLA)グローバル・ビジョン・ワークショップ(アジア・オセアニア地域)が開催された。アジア・オセアニア地域の28の国や地域から31人が集い,日本からは3人が参加し,うち2人が国立国会図書館(NDL),1人が日本図書館協会(JLA)からの参加であった。

E2035 - 地域活性化に挑む:図書館総合展フォーラムin津山<報告>

全国の図書館活動の活性化と図書館関係者の情報交換の場を提供することを目的として,図書館総合展「地域フォーラム」(E1968,E1940参照)が各地で年3,4回開催されている。2018年の初回は,5月17日に「図書館総合展2018フォーラムin津山」として,「地域活性化に挑む図書館」をテーマに開催された。岡山県内での実施は2014年の岡山市での開催以来の2回目となる。津山市は岡山県県北地域の中心都市であり,人口減少や中心市街地活性化等の課題に取り組んでいる。この4月には市立図書館が設立40周年を迎えた。会場は美作大学に2016年にオープンした美作学園創立100周年記念館である。同建物内に大学図書館もあり,見学ツアーも実施された。主催者発表による本会参加者は170人であった。

6月 14日

E2034 - 議論を通じた将来ビジョン策定の取組“IFLA Global Vision”

国際図書館連盟(IFLA)は,2017年4月,現代の図書館が直面する課題は全世界の図書館が連携し包括的に対応することによってのみ克服可能との認識のもと,全世界の図書館による議論を通じた将来ビジョン策定の取組“Global Vision”を開始した。2018年3月には,スペインで開催されたIFLAのPresident’s Meetingで中間報告が行われ,その報告書にあたる“Global Vision Report Summary”も公開された。現在,英語・スペイン語・フランス語・ドイツ語・ロシア語・中国語・アラビア語・イタリア語・ラトビア語・韓国語版が公開されている。本稿では,本報告書及び今後の同取組の流れを紹介する。

E2033 - 映像コンテンツの国際展開と情報基盤の構築<報告>

シンポジウム「映像コンテンツの国際展開と情報基盤の構築──知的資源としての映像を,いかに活用するか」が,2018年3月30日,筑波大学東京キャンパス文京校舎において,筑波大学図書館情報メディア系,同・図書館情報メディア研究科,同・知的コミュニティ基盤研究センターの主催によって開催された。

E2030 - 司書の仕事を小説で紹介:著者・監修者・編集者インタビュー

2018年4月,司書業務の内容紹介を絡めながら公共図書館の新人司書・稲嶺双葉の成長過程を描く小説『司書のお仕事:お探しの本は何ですか?』が刊行された。『カレントアウェアネス-E』事務局では,著者である東海学園大学人文学部准教授の大橋崇行氏,監修者である犬山市立図書館(愛知県)の小曽川真貴氏,編集を担当した勉誠出版株式会社の萩野強氏にお話を伺った。

E2031 - 北の本箱:本と人がつながる幕別町図書館の本棚

幕別町とは縁もゆかりもない著名人による寄贈本の展示コーナー,「北の本箱」が北海道の幕別町図書館(以下「当館」)に設けられたのは,1997年11月。作家の森村誠一さん,株式会社資生堂名誉会長の福原義春さん,劇作家の平田オリザさんなど18名の寄贈本が展示されているこのコーナーは当館の蔵書冊数約24万冊のうち,約3万3,000冊を占める,来館者の知的好奇心をくすぐる空間となっている。

E2032 - ビブリオバトル方式の推薦入試

筑波大学情報学群知識情報・図書館学類は,2018年11月実施の推薦入試から,基礎的な知識の習得に加えて,思考力・判断力・表現力等の能力を多面的に評価することを目指して,ビブリオバトル方式の面接を導入する。ビブリオバトルは,「人を通して本を知る。本を通して人を知る」をキャッチコピーとして全国に広がっている本の紹介コミュニケーションゲームである(CA1830参照)。2018年4月に公表された第四次「子供の読書活動の推進に関する基本的な計画」でもビブリオバトルが取り上げられるなど,本に関わる活動として定着した感がある。一方,大学入試では,京都大学の特色入試,大阪大学の世界適塾入試,お茶の水女子大学の新フンボルト入試(E1717参照),早稲田大学の新思考入試,中京大学の高大接続入試など,新しい入学者選抜方式が模索されている。高大接続改革の中で高等学校教育・大学教育の改革と併せて,大学入学者選抜の改革が焦点となっていることが背景にあるが,基礎的な知識・技能,思考力・判断力・表現力等の能力,主体性・多様性・協働性という学力の三要素を多面的・総合的に評価することを社会から求められるようになった各大学が,それぞれの特徴をアピールするような個性的な入試を改革の目玉に据えようとしているようでもある。

6月 13日